小田和正の“夢と冒険”の幻のドキュメンタリー 『キャディ 青木功/小田和正』は必見!

 練習日にキャディの仕事を覚え、ついに3日間の本番に臨む小田。バッグを運ぶ、クラブの手入れをする、カートの運転をする、ターフ(芝生)を元に戻す、ラインを読む、歩測(ピンまでの距離を歩いて測ること)を伝えるなど、キャディの仕事は多岐にわたる。

 初日はミスばかりだった。最初のホールでいきなり3つのミスを重ねて、小田の頭の中は真っ白に。その後も、カートの運転を間違えて怒られる、ボールの受け渡しのタイミングが悪いと怒られる、歩測を間違えて怒られる、グリーンで立っている場所が悪くて怒られる、ポケットに手を突っ込んでいて怒られるなど、青木に怒られっぱなしの小田。こんなに怒られている一流アーティストの姿を見ることなどあるまい。青木のスコアも伸び悩む。

 2日目、小田はカートに乗らず、ゴルフバッグを歩いて運ぶことにする。何があっても青木のそばから離れないようにしようと決めたのだ。ゴルファーとキャディ。2人の気持ちが重なり、コンビネーションがうまくいくと、調子も上がっていく。小田のナレーションはこう語る。「ここから僕らの快進撃が始まった」――。

 2日目のスコア、最終日の息詰まる優勝争いの行方、そして小田にとっての「夢と冒険」の結末は、ぜひとも放送で確かめてもらいたい。これを観れば、ゴルフの奥深さ、人は何歳になっても成長できること、そして人と出会うことの大切さがよくわかる。エンディングで流れる小田の楽曲「風の坂道」の歌詞が心にしみる。

〈君と初めて会ったそのときから 自分が変わっていくのがわかった〉

 説明過多でもなく、演出過剰でもない、シンプルな作りだからこそ、いろいろなものが伝わってくるスポーツドキュメンタリー『キャディ』。30年ぶりの放送を楽しみに待ちたい。

■放送情報
『キャディ 青木功/小田和正~怒られて、励まされて、54ホール』
ホームドラマチャンネルにて、9月29日(日)17:15~放送
出演:青木功、小田和正ほか
放送年:1994年
©佐藤真憲
特設サイト:https://www.homedrama-ch.com/special/odakazumasa

関連記事