『スカイキャッスル』原作からの変更点を振り返る 病院内での権力争いはややマイルドに

『スカイキャッスル』原作からの変更点

 韓国で2018~2019年に放送され、社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』の日本版リメイク『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)は、9月19日に放送される第8話から、いよいよ最終章に突入。第7話では、山田未久(田牧そら)が屋上から落下して大怪我を負うも、自分が未久の実の父親であることを知らない浅見英世(田辺誠一)は、VIPの子どものオペを優先し、未久を置き去りにしてしまった。未久の出生の真実を知ったとき、英世はどのような気持ちを抱くのか。

 最終章にも、まだまだいくつもの驚きの展開が待ち受けていそうな『スカイキャッスル』。韓国で放送されたオリジナル版は全20話(配信では分割されて36話)だが、日本版はおそらく全9話だと思われるため、オリジナルで描かれたエピソードのうち、残念ながらカットされる内容もある。日本版では取り上げられなかった、韓国版の面白い要素を紹介しよう。

 日本版の主人公は松下奈緒が演じる浅見紗英で、彼女の家族が物語の中心となっており、娘・瑠璃(新井美羽)の受験をめぐって、浅見家の人々にさまざまな問題が巻き起こる。学校では瑠璃の同級生でライバルである未久との成績争い、紗英の夫・英世が務める帝都病院では出世争いも起きている。

 そんな中、スカイキャッスルの住人の1人で、英世の同僚である二階堂亘(鈴木浩介)は、妻・杏子(比嘉愛未)へのモラハラが酷く、息子・翔(柴崎楓雅)の教育に関しても、異常なほどの厳しさで翔を追い込んでいる。亘は英世と同じく帝都病院に勤める脳神経外科医という設定だが、韓国版の亘にあたるチャ・ミニョク(キム・ビョンチョル)は大学教授。そして、子どもは翔しかいないが、オリジナル版では翔にあたる息子に双子の兄弟がいて、さらに姉もいる。日本版では、亘の設定が変更されたことで、二階堂家のドロドロ要素がややマイルドになっているように思う。

 オリジナル版のタイトル『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』のSKYとは、韓国最難関の3つの大学、ソウル(S)、高麗(K)、延世(Y)の頭文字で、韓国の上流層には「SKYでなければ認めない」という風潮がある。舞台となる「SKYキャッスル」の親たちは、SKYに入学させようと躍起になっており、特に顕著なのがミニョクだ。次長検事出身の彼は、現在は大学のロースクールの教授で、勉強に全てを懸ける人生を送ってきた。

 SKYキャッスル内で定期的に読書会を開き、毎回難しすぎる課題図書を提示するミニョク。しかも、感想文まで書かせるため、子どもたちは相当な苦労を強いられている。その状況を見かねた、新たな住人のイ・スイム(イ・テラン/日本版で木村文乃が演じる南沢泉にあたる)が異議を唱え、読書会の存続を懸けた投票が始まる。

 自分と同じように、子どもたちにも勉強と出世に人生を懸けさせようとするエゴイストのミニョクと、優しくて気さくな性格の童話作家・スイムとの対決を描く“読書会騒動”は、日本版にはない興味深い要素の1つだ。

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