2024年は河合優実の年で確定! 『ナミビアの砂漠』と『夜明けのすべて』はセットで観たい
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ごめんなさい石井が『ナミビアの砂漠』をプッシュします。
『ナミビアの砂漠』
2024年、最も名前を検索された俳優と思われ、最も観た人の心を掴んでいるであろう俳優・河合優実(ソースはありませんが、あながち間違いではないはず)。
『不適切にもほどがある!』(TBS系)の純子にメロメロにされ、クールでカッコいい『RoOT / ルート』(テレ東系)の玲奈に悶絶し、映画『あんのこと』『ルックバック』、ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合)で泣かされ……と、1月から現在9月まで、どんどん“河合優実沼”にハマっている人が多いのではないでしょうか。
そんな“河合優実沼”からいよいよ抜け出せなくなるのが、映画『ナミビアの砂漠』です。すでに各所で枕詞のように紹介されまくっているので、あらためて言うまでもないのですが、当時高校生だった河合優実が山中瑶子監督の『あみこ』に感銘を受け、いつか出演したいという趣旨の手紙を贈ったことがきっかけで本作は誕生しました。何者でもない高校生が監督に手紙を贈るのだって、なかなかできないことなのに、キャリアを積み重ねて確かな実力でその言葉を実現させているのだから、それはもう、何も言えねえです。もうこのストーリーが映画です。
河合が『ナミビアの砂漠』で演じているのは、夢を持ったり、なにかに努力したり、頑張るようなTHE・主人公とは正反対のキャラクター・カナ。趣味もなく、犯罪などの違法行為をするわけでもないし、なんとなく毎日を生きるカナ。料理もできてびっくりするほど優しいホンダ(寛一郎)との同棲生活ははたから見れば幸せそうです。でも、カナは優しいホンダには満たされず、しれっと口実を見つけて“クリエイター”のハヤシ(金子大地)のもとへ。しかし、それでも満たされないカナは、どう生きていくのか……というのが本作の大まかなあらすじです。
2000年代前半に誕生した世代、いわゆるZ世代に該当する世代は、どこか醒めた感覚を持っているといわれることがありますが、カナはまさにそれを象徴するような女性です。筆者は性別も年代もまるで違いますが、なかなか希望が見えない2020年代の日本を生きる人間として、カナに思わず共感してしまう瞬間がたびたびありました。
本当はこうしたいのに、こう言いたいのに、嫌われたくないのに、でも、どうしてもできない。まったく知らない人には明るく接することができるのに、家族や親しい人には途端に無口になってしまう。この感覚、多かれ少なかれ、経験したことがある人は多いはず。そんな人ほど、カナの気持ちに「分かるよ」と思わずにいられないときがあると思います。