舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン現地での評価は? 4カ月にわたる公演が大千穐楽へ

舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演レポ

 日本公演との大きな違いは、劇場の雰囲気だ。序盤の車中のシーンで、主人公・千尋が両親から言われたことにふてくされ、橋本環奈があっかんべーをすると最初の笑いが起きた。リアクションがリアルタイムで観客から直に返されるのが、海外公演ならではだと感じた。釜爺(田口トモロヲ)を手伝うススワタリのパペットの動きのかわいさにもクスクスと笑い声が聞こえ、湯婆婆の部屋のシーンで登場した頭(五十嵐ゆうや)の奇妙な動きにも笑いが止まらない。カオナシ(山野光)や釜爺など、それぞれのキャラクターのちょっとした一つ一つの動きに、会場全体が豊かなリアクションをしていたのが印象的だった

 『Time Out』誌で「映画が舞台で本当に成功しているということを証明している。『もののけ姫』『ハウルの動く城』、そしてその他のスタジオジブリの作品も舞台化されるべきだ」と綴られているように、日本の演劇において、新たな道を開いた『千と千尋の神隠しSpirited Away』。筆者が観た初日公演第1幕のラスト、そしてカーテンコールでの拍手と歓声は、現地での評価を物語っていただろう。4カ月にわたるロンドン公演は総公演135回。そのパフォーマンスは毎公演、日本各地とロンドンをハシゴして変化し、素晴らしい感動を届けた結果、日本の演劇、そしてエンタメを代表する作品の一つとなった。8月25日、まだラストチャンスを目の当たりにできる機会は残っている。

参照
※1.https://www.express.co.uk/entertainment/theatre/1897343/Spirited-Away-review-Studio-Ghibli-theatre-West-End
※2.https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/theatre-dance/reviews/spirited-away-london-coliseum-review-studio-ghibli-b2541583.html
※3.https://www.theguardian.com/stage/article/2024/may/09/spirited-away-review-studio-ghibli-hayao-miyazaki-coliseum-london
※4. https://www.londontheatre.co.uk/reviews/spirited-away-review-london-coliseum
※5. https://www.timeout.com/london/theatre/spirited-away-review

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