NHKドラマで描かれてきた“オリンピック” 『虎に翼』で人種差別のテーマを扱う意義とは

 現在、開催されているパリオリンピックでは、様々な競技で熱い戦いが繰り広げられている。まさかの敗退や逆転でのメダル獲得など勝負の結果だけではなく、同じ国の代表としてメダルに挑む兄弟がいたり、61歳で一国の代表となり、勝利する選手がいたりとドラマチックな出来事がたくさんあり、胸を踊らせる日々だ。

 フランスのパリが2024年のオリンピック開催国に選ばれたのは2017年。つまり、パリではこのオリンピック開幕を夢見て、7年かけて準備が進められてきたということだ。開催国に決まるまでにも準備しなければならないことがたくさんあることを考えると、それ以上の年月をかけて、多くの人がこのお祭りのような期間のために関わっているのだろう。

 NHK大河ドラマでは、1964年に開催された東京オリンピックを題材に『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が制作され、東京でオリンピックを開催しようと奮闘した人々、そしてそんなオリンピックで結果を残そうと努力を重ねた日本人選手たちの姿が描かれた。

『いだてん』は“オリンピックとは何のためにあるのか”と問いかける 改めて響くセリフの数々

4年に一度、世界中の人たちが集って行う巨大なスポーツの祭典・オリンピック。2019年に放送されたNHK大河ドラマ『いだてん~東京…

 一方、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)では、大河ドラマのように真正面からオリンピックを題材としたものはないが、1964年の東京オリンピック開会式のシーンからスタートしたのが『エール』(2020年度前期)。主人公は、昭和を代表する作曲家・古関裕而をモデルとした古山裕一(窪田正孝)。古山は開会式のオープニング曲を作曲したのだが、極度のプレッシャーと緊張から、開会式の会場となった国立競技場の地下トイレに隠れていた。しかし、妻の音(二階堂ふみ)に引っ張り出され、夫婦ふたりで開会式の場へと向かっていく。昭和のはじめに結婚し、激動の時代を夫婦で乗り越えてきた裕一と音を象徴するかのような印象的なシーンである。

『エール』が革新的な朝ドラとなる3つの要素 『いだてん』のアナザーストーリーの一面も

新しい連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『エール』(NHK総合)が、本日3月30日より始まった。  本作は「栄冠は君に耀く」(全国…

 1964年の東京オリンピックは地方や産業にも大きな影響を与えた。朝ドラではメインテーマではなくとも、その影響を感じられるシーンが描かれることがあった。『ひよっこ』(2017年度前期)は、東京オリンピックが開催される年の、茨城県北西部にある山あいの村・奥茨城村が舞台だった。主人公のみね子(有村架純)はこのとき、高校生。オリンピックの聖火リレーは開催国の各地を通るが、奥茨城村はコースに入っていなかった。みね子の同級生・三男(泉澤祐希)は、それを残念がり、みね子と時子(佐久間由衣)とともに、なんと村を巻き込んで“自主聖火リレー”を企画したのだ。コースや走順、聖火トーチ作成や走者の指導も、高校の先生や村の人たちと協力して進めていった。若者だけでなく、大人たちまでもがオリンピックにワクワクしていたことが伝わってくる。

『ひよっこ』はなぜ愛されたのか “欲望”を過剰にしなかった昭和のもう一つの物語

現在夕方に再放送されている“朝ドラ”『ひよっこ』(NHK総合)を観るとほっとする。2017年に放送された作品で、ヒロインがあんま…

 また、『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)では、その時期にるい(深津絵里)が大阪の竹村クリーニング店で住み込み店員をしていた。店主の平助(村田雄浩)は、時代劇が好きで、近所で映画館を営む西山(笑福亭笑瓶)と時代劇談義に花を咲かせていた。しかし西山が、東京オリンピックが近づき、各家庭にテレビが普及してきたことで映画館の客入りが減ってきたと小言を言うこともあった。

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