『くる恋』Pにラブコメ×ミステリーの狙いを聞く 「誰を選んでもと思ってもらえるように」

ミステリー要素を取り入れるのはチャレンジだった

ーー胸キュン要素の多い火曜ドラマでありながら、ミステリー色とのバランスが絶妙でした。

八木:ラブコメとミステリーのバランス調整には本当に悩みました。ミステリーの要素を前面に出してしまうと、「この人は嘘をついてるんだ」とわかってしまうじゃないですか。それだと、視聴者は純粋にラブコメとして楽しめるのかが疑問で。その辺の塩梅が非常に難しかったですね。また、3人の男性を恋愛対象のキャラクターとして魅力的に見せるためには、1人ずつ丁寧に描写していく必要があったんです。結果として、そのセットアップに第4話までかかってしまいました。

ーー後半はかなりミステリー要素が色濃くなってきて。

八木氏:そうなんです。第9話の最後のシーンなんかは、「そろそろ誰かに怒られるんじゃないか」と不安になることもありました(笑)。でも作り手として、視聴者の方が火曜ドラマに期待しているラブコメの要素は大切にしつつ、そこに新しいエッセンスや違った視点を加えていきたいという思いもあったんです。ベースは崩さずに、ちょっとした新しさを入れていく。一視聴者としてもそれを求めていたので、ミステリー要素を取り入れるのはチャレンジではありましたが、思い切ってやってみました。放送中は私もSNSで視聴者の反応をチェックしているんですが、予想以上に「ここで“くるり”しそう」といった声が上がっていて。そうした反応を見ていると、「火曜ドラマでもこういう演出をしてみてもいいんだな」と感じましたね。

ーー演出にも工夫が?

八木:はい。松木監督のこだわりでもありますが、基本的に俳優さんには怪しさを表に出さないよう演技をしてもらい、代わりにカメラアングルなどで怪しさを匂わせるようにしたんです。ただ、律に関しては、切ない表情を見せるシーンが多めの印象があると思うんですけど。最後まで3人の中から誰を選ぶのかわからない状態を維持しつつ、誰を選んでもハッピーエンドに見えるように仕上げるのは、なかなか大変な作業でした。そして、色々分かってきた後半のタイミングで見返した時に、違う意味で見えるように、と工夫しました。

ーーちなみに、男性視聴者の反応はいかがですか?

八木:それが、私の周りで「『くるり』、めっちゃ面白いです!」ってわざわざ感想をくれる方は男性が多いんです。ミステリー要素を入れた効果なのかもしれません。“火曜22時枠”でありながら、ちょっといつもと違う層にも響いている気がしています。

ーー今回のドラマ制作を通して、八木さんが一番大切にしたところはどんなところでしょうか?

八木:今回のドラマで私が一番大切にしたのは、登場人物全員に対して愛情を持つこと。脚本を作る段階から、1人のキャラクターに感情移入しすぎないように気をつけました。主人公のまことはもちろん、3人の男性たちにも平等に愛着を持って接するように。それぞれの役割や魅力を丁寧に描写することで、視聴者の皆さんから「誰を選んでも幸せになれそう」って思ってもらえるような作品にしたかったので。その想いは、ブレずに最後まで持ち続けました。

ーー最終回に向けての見どころを教えてください。

八木:クライマックスに向けて見どころになるのは、2つの恋の行方です。記憶をなくす前に想いを寄せていた相手の存在と、記憶喪失後に芽生えた新しい恋心。まことは、最後まで悩みに悩みつつも前に進み続けます。彼女の成長する姿を応援してもらえたら嬉しいです。そして、この作品は記憶喪失という設定を通して、自分探しをするストーリーでもあります。だからこそ最終回では、そういう側面も含めて視聴者の方の背中を押せるようなメッセージを込めました。まことの選択を、ぜひ最後まで一緒に見届けて欲しいです。

■放送情報
火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:生見愛瑠、瀬戸康史、神尾楓珠、宮世琉弥、丸山礼、高野洸、村方乃々佳、肥後克広(ダチョウ俱楽部)、ともさかりえ、片平なぎさ
脚本:吉澤智子
演出:松木彩
プロデューサー:八木亜未
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:Da-iCE「I wonder」(avex trax)
編成:武田梓
製作:大映テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/darekoi_tbs/
公式X(旧 Twitter):@darekoi_tbs
公式Instagram:darekoi_tbs 
公式TikTok:darekoi_tb

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