『鬼滅の刃』不死川実弥と伊黒小芭内は“最も優しい”柱? 稽古時に見えた隊士への愛

 言うまでもなく、鬼殺隊として生きることは、死と隣り合わせだ。時透くんが言うように、「9回勝っても1回負ければ死」である。覚悟が足りない隊士や技量に劣る隊士は、どんどん死んでいく。伊黒と不死川は、後輩に死んでほしくないのだ。だから、死にそうな隊士は潰して、辞めざるを得ない状況に持っていく。

 逆に陽性の柱である煉獄さんや宇髄さんは、ある意味残酷だ。彼らのような「憧れの先輩」は、後輩たちのやる気を促す。煉獄さんにあの太陽のような笑顔で「うむ! ともに頑張ろう!」と言われたら、やっぱり頑張ってしまうと思うのだ。技量に劣る隊士であっても。

 事実、煉獄さんの過去を描くスピンオフ漫画『煉獄零話』(『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の入場者特典に収録)によると、煉獄さんは最終選別の時点で、すでに同期から憧れられている。「俺、貴方みたいになりたいです」と、キラキラした目で訴えかけられている。その時の同期たちは、隊士になってすぐに(おそらく最初の任務で)死んだ。

 伊黒も不死川も、柱になるまでに、嫌と言うほど仲間の死を見てきたはずだ。これ以上、誰にも死んでほしくない。特に不死川は、弟の目を潰してでも鬼殺隊を辞めさせようとした。鬼に殺されるよりはマシだと、思ったのだろう。不死川の技量なら、「鬼と戦うのは無理だがギリギリ生活はできる視力」は残すよう、当て方をコントロールしていたかもしれない。

 「最も怖い柱」改め、実は「最も優しい柱」である2人。彼らの恐ろしさの奥の奥のそのまた深淵に流れる愛を感じ取りながら観れば、この柱稽古編はさらに面白く感じるはずだ。

■放送情報
『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』
フジテレビ系にて、毎週日曜23:15〜放送
TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビにて、毎週土曜24:00〜放送
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
キャスト:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、櫻井孝宏、小西克幸、河西健吾、早見沙織、花澤香菜、鈴村健一、関智一、杉田智和
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/hashirageikohen/

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