天海祐希が向き合う“職人気質”な役作り 『Believe』で周囲を包み込む“母性”を体現

天海祐希が向き合う“職人気質”な役作り

 天海祐希が、テレビ朝日開局65周年ドラマ『Believe-君にかける橋-』に、狩山陸(木村拓哉)の妻・狩山玲子役で出演している。陸は橋オタクで、橋作りに情熱を注ぐ男だ。人たらしで、責任感が強いものの、どこか世間ズレした言動も目立つ。そんな陸と婚姻関係を結び、時には厳しく諭す存在が天海演じる玲子だ。天海は木村の妻役を演じることに喜びを感じているようだ。4月18日に開催されたキャスト登壇イベントでは、「私は木村さん演じる狩山の妻、妻を演じさせていただきます」と、“妻”の部分を強調させ、ユーモア交えて話していた。

 天海は宝塚出身、木村は旧ジャニーズ(現:STARTO ENTERTAINMENT)出身であり、青春時代を過ごした畑は異なるものの、両者ともに国内のドラマ史に大きく貢献してきた。また、2人は主演俳優として現場を率いる立場にも長くある。共演の機会こそ少ないものの、真ん中に立つ者にだけ課される責任を負ってきた同士だ。ドラマや番宣におけるふたりのやりとりを見ていると、互いに尊敬し、信頼し合っているように見える。

「天海さんがいてくれるから脚本にはないけれど、こういうふうに言ってみたいなとか、こういうふうにまわりを詰めてみたいなとか、本当に毎回、毎回、化学変化といいますか。それを大切にしています」

 4月25日放送『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)において、木村は天海との共演を上記のように語っていた。第1話における木村が天海の腰に手をまわし、ハグする自宅のシーンや、第2話における玲子が「ポンコトゥ」と陸に言ったことをきっかけにじゃれ合うシーンにはふたりの心の通い合いが垣間見える。役者としてお互いを尊敬し合っている天海と木村だからこそ、視聴者が心和むラブシーンが生まれた。

作品作りの世界であふれる天海祐希の“女性らしさ”

 近年における天海には母性が感じられる。どこか優しく、周囲を包み込む、あたたかさにあふれているように見えるのだ。天海を見ていると、子どもを産んだ人だけが母親のような役割を担っているわけではないようにも思えてくる。

 2012年に放送された『結婚しない』(フジテレビ系)では、天海はガーデンデザイナー・桐島春子を演じた。独身の春子には子どもはいないが、自分がデザインした庭を我が子のように思っていると話している。天海にとって我が子とは「出演作品」ではないか。天海は仕事が“推し”であると話すほど俳優業に注力している。作品に対する思いは並大抵のものではないはずだ。

 また、天海の言葉に救われたと話す若手俳優も少なくない。実の母親であっても我が子の人生を導くような助言はなかなかできないだろう。また、一つの作品には多くの人が関わっているが、撮影中はほとんど座らず出演者やスタッフを気に掛け、現場を明るくし、時には厳しく対応する姿は家庭内の灯である母親のようだ。

 30代、40代の頃の天海を改めて見ると、“クールビューティー”という言葉がよく似合う。しかし近年における天海はクールビューティーというよりも、母性的な美しさが感じられる。ココ・シャネルの有名な言葉に「20歳の顔は自然がくれたもの。30歳の顔は自分の生き様。50歳の顔はあなたの功績」があるが、天海のやさしく、あたたかみのある表情はこれまでの生き方の証なのだろう。 

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