『9ボーダー』川口春奈と松下洸平のロマンチックなキスシーン 大きな一歩を踏み出す3姉妹
夢とは一体何なのだろうか。子供の頃に抱いた大きな夢、例えばサッカー選手になることや宇宙飛行士になることは、多くの人にとって現実には叶わないものかもしれない。しかし、もっと身近で小さなやりたいことも、立派な夢なのではないだろうか。金曜ドラマ『9ボーダー』(TBS系)第5話は、“夢”が重要なキーワードとなった。
七苗(川口春奈)は実家の銭湯「おおば湯」の立て直しを夢見て奮闘する。その過程で、各地の銭湯を巡りながら、その在り方を学んでいく七苗はやはり仕事熱心だ。そんな七苗を優しく見守り、時に力になってくれるコウタロウ(松下洸平)との心の絆も日に日に深まっていく。夢に向かって一歩ずつ前進する七苗の日々は、確かな幸福感に包まれていた。
一方、離婚を経験した六月(木南晴夏)は、今の住まいを引き払って実家に戻ることを決意する。また、あつ子(YOU)とコウタロウの住むマンションでは水漏れ事故が発生し、修理の間、七苗とコウタロウは共に暮らすことに。思いがけない同居生活が、2人の関係にどのような影響をもたらすのか、観ているこちらもワクワクさせられる。
夢を持ち、その実現に向けて輝いている人々は確かに素晴らしい。しかしそのあまりの眩しさにあてられると、自分に夢がないことを寂しく感じてしまう人もいる。「私は、特にやりたいことがないんだ」と少し悲しげな八海(畑芽育)の言葉は、明確な目標を持てずにいる人々の心情を代弁しているようだ。悩める八海に、コウタロウは優しく共感を示す。
そんな中でも、夢にまつわる部分で今回多くの視聴者の印象に残ったのは、陽太(木戸大聖)の言葉だろう。陽太は、「夢を叶えられるのは才能ある一握りの人で、それ以外は普通に暮らすしかない」と述べつつも、「でもさ、毎日働いて飯食って風呂入って寝る! それだけで十分」と、夢を持たない人生も十分に価値があると語る。『9ボーダー』は、夢を持つ人にも、持たない人にも寄り添う温かさを持っている作品であると改めて感じた。
八海は陽太への想いを伝えるため、あつ子から受け取った招待券を使ってアミューズメントパークへ向かう。かねてから陽太の「子供扱い」に心を痛めていた八海だったが、あつ子の「好きなら好きって言えばいい」「進め、19歳」との優しい後押しに勇気づけられ、陽太を誘う決意をする。しかし、招待券の枚数が複数あったため、結局みんなでテーマパークに行くことに。
本作ではドラマの随所で流れるSEKAI NO OWARIの楽曲が毎話彩りを添えている。第5話では、七苗たちがテーマパークを楽しむ場面で「Habit」が使用され、テンポの良い楽曲のリズムとMVのようなお洒落な映像につい見入ってしまった。
今回は、自分の気持ちに大きな区切りをつけた人たちも。松嶋(井之脇海)は、六月から「夢にボーダーはないよ」と言われたことで勇気づけられ、「ボーダーなしで追っていいなら僕と付き合ってください」と告白する。バスケットゴールの前で「次決めたら返事を……」と言いながら、大事な局面でゴールを外してしまう松嶋だが、そんな一生懸命な姿に六月は思わず考えると言ってしまう。彼の純粋な想いと努力が、六月の心を動かしたのかもしれない。
一方、陽太と“記念”のプリクラを撮った八海は、ブースの中で陽太に告白をする。陽太が七苗に向ける気持ちを知っているからこそ、「大丈夫、返事はわかってる」と言いながらも、一人涙を流す八海の姿が胸を締め付ける。
しかし、陽太もまた悩んでいた。あつ子から「答えはゆっくり出せばいい」と言われたが、彼はまだその意味を理解していないようだ。八海の勇気ある告白に、陽太はどのように応えるのだろうか。