野村萬斎が『アンチヒーロー』で放つ恐怖の“ラスボス”感 長谷川博己とはどんな対決に?

野村萬斎の“ラスボス”感が怖すぎる

 TBS日曜劇場『アンチヒーロー』の第4話のラストでは、“アンチ”な弁護士の主人公・明墨(長谷川博己)と検事正の伊達原泰輔(野村萬斎)が対面。笑顔をつくり、挨拶をかわしている……ただそれだけのシーンなのに2人の表情からは、ただならぬ不穏な空気が画面を通して強く伝わってきた。野村萬斎が放つ本物のラスボス感はSNSでも話題になった。

 そもそも、明墨を呼び出したのは伊達原だ。料亭の一室で芸妓の唄と踊りに手拍子をしているところに明墨が現れ、「ウェルカム、ウェルカム!」とご機嫌に声をかけた。「ずいぶんとご活躍のようだねぇ」という伊達原に「先生ほどでは」と明墨が返し、お互い含んだ笑顔で見つめ合う。

 お互いに、相手の仕事ぶりを知っているということ。伊達原は明墨がほかの弁護士から仕事を強引に奪ってでも関わろうとする事件を知り、「また派手なことやるつもりかね、明墨先生」「そっか、そっかぁ」などと納得していた。

 この2人の関係が明らかになるのは第5話になる。明墨の仕事の選び方から取り組み方、殺人犯でさえ「無罪にして差し上げます」というやり方に疑問を抱く赤峰(北村匠海)も気づき始めたように、伊達原はすでに明墨の担当する事件の共通点に気づいているのだ。

 主人公のアンチ”な弁護士に対して、こちらも正義のヒーローには見えない検事正・伊達原を演じる野村萬斎の笑顔の怖さ。その唯一無二の存在感、ただ笑顔というだけでも眉の動きに注目したくなるような、バナナを食べているだけでもその表情を深読みしたくなるような奥深い魅力を備えている。

 狂言師・野村万作の長男として生まれた野村萬斎は、3歳のときに初舞台を踏んでいる。狂言以外でもさまざまな作品に出演。映画『陰陽師』シリーズで安部晴明役、『のぼうの城』では、のぼう様こと成田長親役、『七つの会議』の八角民夫役、NHK大河ドラマ『花の乱』では細川勝元、『どうする家康』では今川義元を演じた。

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 記憶に新しい『どうする家康』の今川義元は、威厳があり、王道政治とは何かを教え、幼かった家康(松本潤)に強い影響を与えた。立派な太守様と人質という関係を超えた父のような懐の大きな愛情も示し、親子のような絆も芽生えていたが「桶狭間の戦い」で織田信長(岡田准一)に討たれた。討たれてからも、その偉大な面影が消えることはなかった。

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