松本まりかの“ピュアさ”が光る リアルを突きつけてくる『ミス・ターゲット』の面白さ

リアルを突きつけてくる『ミス・ターゲット』

 とくに、第3話はすみれのピュアさが色濃く出ていた回だった。宗春が、“同業者”のちょーだい女子に騙されそうになっていることを知ると、お金持ちの男性とのディナーを蹴ってまで、彼のもとに駆けつける。そして、「彼のこと、騙さないでください。お客さんのために、一生懸命和菓子を作ってて、その和菓子でたくさんの人を幸せにしてて。そういう人のお金、取らないでほしいんです」と哀願したのだ。

 「(宗春のような生き方は)わたしには、絶対にできない生き方だから」と口にしたときのすみれの表情。“本当はわたしもあんなふうに生きていきたい”という切なさが伝わってきて、胸が苦しくなる。

 すみれと宗春は、お似合いすぎるくらいにお似合いだ。宗春は、すみれがどれだけ強がったことを言ったとしても、からかわない。すべてを理解した上で、まるっと受け入れてくれる。

 「すみれさん、好きです」と宗春に抱き寄せられたとき、すみれはまるで少女時代に戻ったかのようなピュアな表情を見せていた。これまで、ひとりで生きていくために虚勢を張るしかなかった彼女が、ようやく纏っていた鎧を外せた瞬間だったのではないだろうか。

 ただ、いくら悪人限定の詐欺師といえど、人を騙してきたことには変わりない。ここで、“運命の人に出会えました。めでたし、めでたし”で終わらないのが、『ミス・ターゲット』の深いところだ。宗春の父・竜太郎(沢村一樹)は、詐欺を扱う知能犯としてすみれのことを追っている。そのため、宗春と結ばれるわけにはいかない。

 ようやく幸せになれそうなのに、今までの人生がこれからの人生の前に立ち塞がってくる。ど直球なラブストーリーでありながら、リアルを突きつけてくるところが本作の面白さだなぁと思う。

■放送情報
『ミス・ターゲット』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
出演:松本まりか、上杉柊平、鈴木愛理、川西賢志郎、小槙まこ、田中真琴、八嶋智人、筒井真理子、沢村一樹
脚本:政池洋佑
演出:植田尚、日暮謙、近藤幸子
プロデューサー:山崎宏太、南雄大(ABCテレビ)、山本喜彦、神通勉、小路美智子(MMJ)
主題歌:家入レオ「ワルツ」(ビクターエンタテインメント)
音楽:富貴晴美
制作協力:MMJ
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/misstarget/
公式X(旧Twitter):@misstarget_abc
公式Instagram:@misstarget_abc
公式LINEアカウント:@abc_drama

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