『花束みたいな恋をした』にも登場した『宝石の国』完結へ アニメ第2期に高まる期待

『宝石の国』の展開は驚天動地の連続だった

 一方で、原作を読んできた人にとって、フォスフォフィライトや物語世界のその後は、驚天動地の連続だった。アニメで続きを観たい人のために詳細は明かさないが、ただただ不気味な存在の月人たちの正体や、宝石たちが慕い頼る金剛の秘密が判明して、地上に暮らす人類の末裔のような宝石たちと、月からやってくる侵略者のような月人との戦いといった物語の構図が大きく変わる。それこそひっくり返って裏返ると言ってもいいくらいの展開だ。

 その中で、フォスフォフィライトの立場も変わっていく。同時に、その姿もどんどんと変貌を遂げていく。アニメの最後の時でさえ両腕が砕かれ合金に置き換えられている。原作ではさらに変貌が重なって、単行本の12巻では知らずに見せられても誰だか分からない姿になってしまっている。そんなフォスフォフィライトが宝石たちにも月人たちにも先生にも意味のあることを成し遂げた先に、さらに幾つかの展開を経て最終話のエピソードへと至る。

 美しい少年たちによるバトルストーリーとして幕を開けた作品が、まさかそのような帰結を迎えるとは誰が予想しただろう。キャラクターに入れ込んで読むタイプの人には、どこか受け入れがたい展開だったかもしれない。ただ、フォスフォフィライトが当初から取り組んできた、現在を保存し未来の不意に備える歴史の編纂者としての役割が果たされた最後だとも言える。その意味で、『宝石の国』には貫き通された芯があった。

アニメ第2期は黒沢ともよの演技が鍵になる

 もしもそうした展開が、第2期以降のアニメで描かれたとしたら、どれだけの衝撃を観る人に与えるだろう。漫画を読んで先に驚いた人にとって反応が気になるところだが、一方でアニメも楽しんでいた人にとって、黒沢ともよによるフォスフォフィライトの演技が、どのように進化し、深まっていくかにも興味が及ぶ。『響け!ユーフォニアム』の黄前久美子役や『スキップとローファー』の岩倉美津未役のように、何かにつけてアタフタしがちなキャラで魅せるその演技が、当初のフォスフォフィライトにはハマっていた。

『スキップとローファー』黒沢ともよが語る美津未の役作りと“声作り” 思わず泣いてしまうエピソードも

 けれども、その後に大きく変貌するフォスフォフィライトには、必ずしもハマるとは限らない。いったいどのような声を聞かせてくれるのか。そこは演技巧者ぶりをいかんなく発揮している黒沢のことだ。常に最適のフォスフォフィライトを演じてみせてくれるだろう。だからこそアニメで観たいし聞きたい。最後にたどり着いたフォスフォフィライトの神秘的な姿を。荘厳なその声を。

 漫画完結の次はアニメの完結が来ると信じて待とう。

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