『デューン 砂の惑星PART2』は前作以上の面白さ ゼンデイヤが最後に見せる表情が絶品

『デューン 砂の惑星PART2』の面白さ

 砂の惑星救世主伝説こと『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の続編、『デューン 砂の惑星PART2』(2024年)が登場だ。アメリカでは「『スター・ウォーズ』(1977年~)や『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年~)に匹敵する!」と批評家から大絶賛を受け、さらに観客の支持も高く、批評と興行の両面で大成功作となっている。

 そう聞いて私は素直に「本当でござるか~?」と疑った。1作目は好きだが、そこまで大絶賛ではなかったからだ。作り込まれた美術と映像、豪華俳優陣、陰謀と人情が入り乱れる物語、ハンス・ジマーお得意の「ドォーン」「ズギャァーン」という書き文字のような音楽……こういった魅力はあったが、弱点もあった。飛び交う固有名詞に専門用語、次々と増える登場人物。圧倒的な情報量に押され、恥ずかしながら、すべてを理解することができなかった。クライマックスがナイフでのタイマンだったこともあり、「派手なのか地味なのか分からん不思議な映画だなぁ」という印象だ。そんなわけで大絶賛評を見ても「また不思議な規模感の映画なのでは?」と疑っていたわけだが……結論から言えば、今回は前作より格段に面白くなっていたと思う。アメリカでヒットするのも納得である。

デューン 砂の惑星PART2

 物語は前作の続きから始まる。いろいろあって全てを失い、砂の惑星デューンに逃れた貴族のポール(ティモシー・シャラメ)は、原住民のチャニ(ゼンデイヤ)とイイ感じになりつつ、自身を陥れたハルコンネン家への復讐を狙っていた。ポールは原住民の中ではよそ者扱いを受けているが、彼をデューンの予言にある伝説の救世主と信じるスティルガー(ハビエル・バルデム)の後押しと、本人のド根性もあって、徐々に砂漠の民として受け入れられていく。一方その頃、ハルコンネン家の人々はデューンを掌握できないことに業を煮やし、超武闘派のフェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)を送り込む。かくしてポールとハルコンネン家の抗争は激化していくのだが……。

デューン 砂の惑星PART2

 こう書くとシンプルなのだが、実際に観ると前作に続いて難しい。たとえば主人公の呼び名だけでも3種類くらいある。ポール(本名)、ムアッディブ(原住民のあいだで使っている異名)、リサーン・アル=ガイブ(原住民の中での伝説の救世主の意)。全編こんな調子なので、恥ずかしながら前作に続いて「え~と、今ってなんの話をしてるんだっけ?」と混乱した。

デューン 砂の惑星PART2

 それでも私が楽しめたのは、本作に『エイリアン2』(1986年)的な「今度は戦争だ!」という強固な縦軸があったからだ。前作は貴族同士の暗闘がメインだったが、今回は悪の貴族vs原住民の全面戦。しかも悪の貴族側は『スター・ウォーズ』の帝国のような、悪の軍団として完成されたビジュアルを持っているので、「あ、こいつらが悪いのね」と観ていて非常に分かりやすい。さらに前作とは打って変わって、巨大ロボを人間たちがチームワークで破壊するゲリラ戦から、大軍同士の正面切っての白兵戦、サンドワーム(砂漠に住んでいる巨大な虫)を使っての突撃など、大スケールのアクションも多い。もちろんナイフアクションも健在だ。「なんかスゲェことが起きている」と思える映画になっていたと思う。

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