『君が心をくれたから』千秋が望んだ家族団欒の席 日下が長崎で案内人になった切ない動機

 一方で日下は、五感を失った後の生活に希望が持てずに死を考える雨に対して、自身の生きていた頃の出来事を話し始める。“奇跡”を受け入れて恋人の身代わりになったものの、捨てられてしまい孤独に生きてきたこと。さすがに彼の正体は太陽における千秋のように、雨の身内ではなかったにしろ、そのかつての恋人の遺した絵を見るために長崎の地で案内人をすることを選んだという動機まではっきりと明かされるのである。

 終盤、キャンドルを灯しながら太陽が雨に誓う、五感を取り戻す方法を必ず見つけるという言葉。それだけで、“最初で最後の花火”を見せること以外のもっと希望に満ちた結末の可能性がこのドラマにも残されていると示唆されたようにも思える。ところで、1953年に生まれ映画の脚本家を志す青年だったという日下の過去。それを聞かされる雨が永野芽郁であることも相まって、『半分、青い。』(NHK総合)で斎藤工が演じていた元住吉監督を思い出したのは筆者だけではないだろう。

■放送情報
『君が心をくれたから』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:永野芽郁、山田裕貴、斎藤工、松本若菜、白洲迅、出口夏希、真飛聖、遠藤憲一、余貴美子
脚本:宇山佳佑
主題歌:宇多田ヒカル
演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimikoko/
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