『春になったら』忍び寄る死の影に奈緒は何を思う 深澤辰哉と濱田岳が一触即発

 死という絶対的なものを前にすると、それまで築いてきた価値観が覆される。何が大事かという基準が崩壊し、優先順位がつけられなくなる。その中で大きな波に抗うように最後の瞬間まで生きていくのは、口で言うほど簡単じゃない。あらためて終活は本人が先頭に立って、周囲の人々とともに人生の終わりを受け入れるプロセスであると感じた。

 かつてなく平常心を保つことが必要なときに、劇中の登場人物で一番“普通”なのは岸かもしれない。瞳に結婚式の司会を頼まれ、ひとしきりへこんだ後に、今度は雅彦から葬儀の司会を頼まれる。親子にほんろうされて戸惑いつつ、居酒屋で美奈子(見上愛)に愚痴る姿はいつもの岸で、すぐそばにいる相手の気持ちに気づかないのも平常運転だ。

 その岸が一馬と偶然会って、一触即発かと思われたのに、言いたいことをストレートにぶつけているはずが「僕は普通」「一緒にもんじゃを食べに行く仲」と言い捨ててその場を離れる。なぜだか笑いの方向に流れてしまう岸は、マイペースなところが一馬と似た者同士に見える。大まじめな二人のやり取りはシリアスな第5話で一服の清涼剤のようだった。

■放送情報
『春になったら』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:奈緒、木梨憲武、深澤辰哉、見上愛、西垣匠、影山優佳、矢柴俊博、光石研、橋本マナミ、筒井真理子、小林聡美、濱田岳
脚本:福田靖
監督:松本佳奈、穐山茉由
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽プロデューサー:福島節
主題歌:福山雅治:(Amuse Inc. / Polydor Records)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト: https://www.ktv.jp/haruninattara/
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