『マルス』脚本・武藤将吾×演出・平川雄一朗が語る裏側 “みんなの知らない”道枝駿佑を表現
第1話が放送されると、SNSなどで大きな反響を呼んだ『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)。青春“クーデター”サスペンスと銘打たれた本作の脚本を手がけるのは、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)などでエキセントリックな物語を紡いだ武藤将吾だ。
武藤が伝える、“いま”の世の中ではびこるさまざまな“当たり前”にクーデターを起こす青春ストーリーの演出をメインで務めるのが、『ROOKIES』(TBS系)や『仰げば尊し』(TBS系)など青春ストーリーに定評のある平川雄一朗。先の全く読めない本作でタッグを組んだ武藤と平川が、オンエアを観た感想や、作品に込めた思いなどを語った。
武藤将吾「みんなの知らない道枝(駿佑)さんを表現できた」
――第1話からさまざまなどんでん返しの連発でした。作品をご覧になった感想は?
武藤将吾(以下、武藤):青春ドラマは『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』以来だったので、高校生のストーリーを僕が書けるのかなという思いがありました。企画が固まるまで結構な時間を要したのですが、出来上がった作品を拝見して、あまりこれまでに観たことのないようなテイストになっていました。平川監督の演出のおかげで、ハードでありながら、軽やかな感じに仕上がっていたので、魅力的なドラマになっているなと思いました。目がバキバキになるぐらい興奮しました。
平川雄一朗(以下、平川):僕はテレビ朝日のドラマは初めてだったんです。武藤さんが書いた熱量の高く大きな愛で包んでいる作家性の強い物語を、どのように視聴者に届けることができるのかという思いでした。若い役者さんたちも演じるのがとても大変だと思いましたが頑張ってくれました。しっかりと届いてくれたら嬉しいですね。
――主人公の美島零を演じた道枝駿佑さんの印象は?
武藤:最初キャスティングを聞いたときは、こちらが思い描いていた零と道枝さんをどうやってマッチさせるのか、正直彼のパブリックイメージとかけ離れていたので楽しみでした。僕は視聴者が抱いている役者像をひっくり返せたなと思えると喜びが大きいので、オンエアを観たときはガッツポーズじゃないですが、みんなの知らない道枝さんを表現できたなと嬉しかったです。
平川:僕はクランクイン前に道枝くんと相撲を取ったんです。彼は細いし優しい感じだったので、負ける気がしなかった。「来い! 押してみろ」っていうぐらいだったのですが、この間アフレコがあったとき、「もう一回いいですか?」と言われて取り直したら、ゾワっときました。しっかり零になっているなと。今はもう相撲は取れないですよね。それだけ成長して零になっている。きっと魅力が視聴者に届くと思います。
――零以外にも、「マルス」は個性的なメンバー揃いですね。
武藤:零に関しては、道枝さんのビジュアルを含めて、どちらかというとカリスマ性や、何を考えているのかわからないミステリアスな部分を重視して書いています。零はあまり語ることがない分、(板垣李光人演じる)逢沢渾一が皆の思いを代弁する役割になっています。視聴者が共感するのは渾一で、あとのメンバーには謎をちりばめています。第2話以降、それぞれに焦点が当たっていくので、共感していただければと思います。
平川:若い子たちには「一生懸命やりなさい」と言っています。なり切るというか、何でもいいから爪痕を残さないとキャラクターが立っていかない。爪痕を残すためには、ズルくなりなさいと話しています。