『葬送のフリーレン』ミニアニメにみるTikTokの影響力 従来の“おまけ”が効果的な宣伝に
フリーレンたちの冒険では、戦闘シーンで活躍する迫力のある魔法だけでなく、日常生活で使われる実用的な魔法も登場する。ミニアニメでは、実用性が不明な「しつこい油汚れを落とす魔法」や「朝起きられる魔法」のようなユーモラスな魔法をテーマにしたエピソードが描かれており、これがなかなか面白い。オリジナルシナリオ且つフルボイスで楽しめるという意味でも、ミニアニメとはいえ、かなり気合を感じさせる内容に仕上がっていた。
例えば第5話の「食卓をしあわせにする魔法」篇では、『葬送のフリーレン』とミツカン「味ぽん®」との異色コラボが実現している。「何なのかな、ソースなのかな?」とフェルンが味ぽんを見つめたり、フリーレンたちが味ぽんを使って肉を焼いたり……となかなかシュールな展開になるのだが、エンドカードには生活魔法「アジポンベルド」の文字が。予想外の生活魔法の誕生に、思わず笑ってしまう。
ちなみに、その後味ぽん公式Xでは、味ぽんを使ったフリーレンのキャラ弁 「アジポンベル弁」の写真も掲載された。このような本編から外れたコラボの場としても、SNSのプラットフォームが活用されている。
猫猫と壬氏のやりとりが楽しめる『薬屋のひとりごと』ミニアニメ
さらに、現在第2クールが放送中の『薬屋のひとりごと』でも、同じくミニアニメ形式での動画がSNSで配信中だ。『薬屋のひとりごと』のミニアニメ『猫猫のひとりごと』では、各エピソードで重要な役割を果たしたキーアイテムについて、主人公の猫猫が解説する後日談が描かれる。デフォルメされたキャラクターで、猫猫と壬氏の本編では見られないようなユニークなやり取りやエピソードが楽しめるのが特徴で、『葬送のフリーレン』とはまた内容の感じは異なるが、こちらも無料で視聴できるミニアニメとしてはクオリティが高い。
従来、Blu-rayなどのパッケージ特典などで提供されていた「おまけ」要素に当たるコンテンツが、現在では無料でアクセス可能なSNSプラットフォーム上で公開されることが増えているとも考えられるこの流れだが、Z世代を中心とするTikTokの人気を考慮すると頷ける部分は大きい。新しいファン層をどのように獲得するかという観点を考えると、今後のSNSプラットフォームとアニメ作品との距離には見えてくるものがありそうだ。
参考
※ https://markezine.jp/article/detail/44232?p=3
■放送情報
『葬送のフリーレン』
日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」枠にて、毎週金曜23:00〜放送
キャスト:種﨑敦美、市ノ瀬加那、小林千晃、岡本信彦、東地宏樹、上田燿司
原作:山田鐘人、アベツカサ『葬送のフリーレン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:斎藤圭一郎
シリーズ構成:鈴木智尋
キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子
コンセプトアート:吉岡誠子
魔物デザイン:原科大樹
アクションディレクター:岩澤亨
美術監督:高木佐和子
美術設定:杉山晋史
色彩設計:大野春恵
3DCGディレクター:廣住茂徳
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音響監督:はたしょう二
音楽:Evan Call
アニメーション制作:マッドハウス
OPテーマ:YOASOBI「勇者」
EDテーマ:milet「Anytime Anywhere」
©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
公式サイト:https://frieren-anime.jp
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/Anime_Frieren