『君たちはどう生きるか』がアニメ映画賞に 第81回ゴールデングローブ賞受賞結果を総括

 第81回ゴールデングローブ賞の授賞式が、1月7日(米現地時間)にロサンゼルスのビバリーヒルトン・ホテルで開催された。

 アカデミー賞の前哨戦として世界中の注目を集めるゴールデングローブ賞。これまでHFPA(ハリウッド外国人映画記者協会)が運営を担ってきたが、数々の人種差別的な問題が明らかとなり、批判が殺到。HFPAは解散し、テレビ制作会社エルドリッジ・インダストリーズと投資会社ディック・クラーク・プロダクションズに権利を譲渡することになった。

 投票権を持つ会員は、100人前後から約300人にまで増枠。非白人や女性の新会員を増やすなど抜本的な改革が行われ、日本人投票者も15人にまで増加した。今回は新体制となってから初の授賞式となる。

 日本国内で特に注目されていたのは、アニメ映画賞部門にノミネートされた宮﨑駿監督作『君たちはどう生きるか』と新海誠監督作『すずめの戸締まり』。どちらが勝っても日本のアニメファンには嬉しい戦いとなったが、軍配は『君たちはどう生きるか』に上がった。日本映画が同部門を受賞するのは史上初となる。

 宮﨑駿監督、鈴木敏夫プロデューサーらは授賞式を欠席したが、アニメ映画賞のプレゼンターを務めたのは、奇しくも同作の英語版でヒロイン・キリコを演じたフローレンス・ピュー。金の封筒から受賞タイトルが書かれた紙を取り出すと、嬉しそうにガッツポーズをしてみせた。

 映画部門の話題をさらったのは、『オッペンハイマー』。作品賞(ドラマ)のほか、主演男優賞(ドラマ)、助演男優賞(ドラマ)、監督賞、作曲賞の最多5部門を受賞した。ミュージカル・コメディ部門の作品賞は、1月26日に日本公開されるヨルゴス・ランティモス監督作『哀れなるものたち』が獲得。主人公ベラを演じるエマ・ストーンも、主演女優賞(ミュージカル・コメディ)に輝いた。

 ドラマ部門の主演女優賞は、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンが受賞。作中ではアメリカ先住民・オセージ族の女性を演じ、自身もブラックフット族出身のグラッドストーン。スピーチでは自身のルーツや言語に触れ、「この賞は私だけのものではありません。歴史的な勝利です」と喜びを顕にした。

 テレビ部門では、2023年に最終シーズンが放送・配信された『メディア王 〜華麗なる一族〜』が、作品賞(ドラマ)を含む4部門を受賞。ミュージカル・コメディ部門では、『一流シェフのファミリーレストラン』が作品賞、主演男優賞、主演女優賞の3部門を制覇した。

 “最も多様性を重視した映画賞”として生まれ変わったゴールデングローブ賞。今回の受賞結果を踏まえ、3月10日(米現地時間)に発表されるアカデミー賞がどのような結果になるのか注目だ。

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