『ポケモンコンシェルジュ』は“現代の大人”に刺さる のん&ポケモンらしさ溢れる一作に

『ポケモンコンシェルジュ』は大人に刺さる

 忙しい日々の中、癒しを求める心に応える場所が存在する。そこは、ポケモンたちがのびのびと遊び、心からの安らぎを見つける場所、「ポケモンリゾート」。Netflixとポケモンによる共同制作、新作ストップモーションアニメーション『ポケモンコンシェルジュ』は、私たちの疲れた心に新たな夢と癒しを与えてくれる。【本文の最後には登場したポケモン一覧を記載】

 都会で暮らしていたOLのハルは、長年交際していた彼氏に別れを告げられ、日常の小さなトラブルや都会生活のストレスに疲れていた。しかし、ハルの人生は未知の職業、ポケモンリゾートでのコンシェルジュとしての新たなスタートを切ることに。

ポケモンコンシェルジュ

 ポケモンリゾートで働くことになったハルの目に飛び込んできたのは、水辺ではしゃぐウパーたちに、追いかけっこをするオオタチとコラッタ、子どもと遊ぶメタグロス……。最初は慣れない業務に困ることも多かったハルだが、仲間のスタッフとともにポケモンのお世話に奔走しながら、やがて本当の自分らしさに気づいていく。もちろん、スタッフも人間だけではない。スタッフポケモンのヤナップ、バオップ、ヒヤップもリゾートの仕事を一緒に手伝ってくれる。

ポケモンコンシェルジュ

 ハルは、完璧主義者で努力家ゆえに、時には頑張りが行き過ぎてしまうことも。働くにあたってオーナーのワタナベから命じられたのは、「日が沈むまでに1匹のポケモンをハルと同じ気持ちにしてあげること」。ハルが気になったのは、控えめな性格でリゾートになじめないコダックだった。

 ポケモンリゾートには、水に浮かぶことが得意でないコイキングや、怖がりのピカチュウなど、イメージとは違うポケモンたちも存在している。しかし、そんな彼らの一面もリゾートのスタッフは無理に変えようとはしない。その姿勢からうかがえるのは、それぞれの不得意なことも尊重し、自然体であることを肯定するメッセージだ。弱さとは、“自分らしさ”でもある。この「ありのままで良い」というメッセージは、常識に囚われて、つい本来の自分を見失いがちな現代の大人たちにも響くのではないか。

ポケモンコンシェルジュ

 さらには、サトシの相棒として知られるピカチュウの描き方も面白い。活発な動きと元気な声、大きな瞳が印象的なピカチュウは、ポケモンの中でも主役級の存在感を放つ。そんなピカチュウの熱烈なファンで、最初は“黄色”と聞いて、真っ先にピカチュウを思い浮かべるハル。しかし物語が進むにつれ、彼女にとっての“黄色”はコダックを象徴する色に変わっていく。

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