『毒戦 BELIEVER 2』ハン・ヒョジュが魅力的な悪役に 空白に“正解”は必要だったのか?

 Netflixで配信中の『毒戦 BELIEVER 2』(以下、『毒戦2』)は、前作『毒戦 BELIEVER』(以下、『毒戦1』)で、刑事のチョ・ウォノ(チョ・ジヌン)が、姿の見えない麻薬王のイ先生を捜査する中で、ソ・ヨンナク(リュ・ジュンヨル)という謎の青年に出会い、彼と手を組んで捜査を進めていくという物語。

 その中でも、自分こそはイ先生だと語るブライアン・リー(チャ・スンウォン)が強烈であった。彼は、イ・先生と自称したまま警察に捕まり、ウォノは刑事としての手柄を立てる。しかし、本当のイ先生がいることを知っているウォノは、どこか空虚な思いを抱いていて、ヨンナクを引き続き追い続け、遂に雪深い山の中で再会し、銃声が響くというところで終わっていた。

 『毒戦2』は、自称・イ先生と名乗るブライアンを捕まえ、そしてヨンナクが消え、雪山でウォノと再会するまでの空白の時間を描いた作品だ。

 ただ、スケジュールの都合でヨンナク役がリュ・ジュンヨルからオ・スンフンに変わっていたり、監督・脚本も、イ・ヘヨンとチョン・ソギョン(『別れる決心』などの)から、『ビューティー・インサイド』のペク・ジョンヨルとキム・ヒジンに変わっているため、見始めたときには、違和感を持ってしまうのも仕方ない。

 しかし、空白の時間を描いた、ひとつの作品と観れば、かなり面白いノワール作品であると言えるだろう。

 中でも興味を持ったのは、女性キャラクターである。特に、監督とは『ビューティー・インサイド』でもタッグを組んでいたクンカル役のハン・ヒョジュに目を見張った。彼女は、『監視者たち』で、ソル・ギョング演じるベテラン刑事たちとチームを組んで捜査をするうちに成長していく刑事を演じるなど、さまざまな作品でも活躍していたが、どの役も凛とした趣の清楚な役柄が多かった俳優である。

 そのハン・ヒョジュが、ボサボサのロングヘアーに、肌は荒れ放題(この映画の登場人物は全員そうだが)、ぶかぶかですすけた洋服に、特徴的な大きな四角い眼鏡といういで立ちで登場し、暴力の限りを尽くす。

 クンカルは、なぜ今のような暴力的な存在になったのかの謎も明かされるという人物で、前作でインパクトを残したブライアンと互角に渡り合えるヴィランを演じていた。

 韓国では昨今、『ベテラン』のユ・アイン、『犯罪都市』のユン・ゲサン、『犯罪都市 THE ROUNDUP』のソン・ソック、『犯罪都市 NO WAY OUT』のイ・ジュニョクと青木崇高、『犯罪都市4』のペク・チャンギなど、30代から40代の中堅俳優がヴィランを演じて、注目をされることが多い。

 しかし、ここに挙げたように、ヴィランに女性は少なかった。今回のハン・ヒョジュが、その先陣を切ったと言ってもいいだろう。

 このほか、組織をまとめるチン・ハリム役のピョン・ヨハン、ウ班長役のヤン・イクチュンなど、豪華なキャストが出てくるたびに、テンションが上がった。

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