『呪術廻戦』虎杖悠仁×釘崎野薔薇×伏黒恵 “1年ズ”の思い出を今だから振り返りたい

『呪術廻戦』“1年ズ”の思い出を振り返る

 アニメ『呪術廻戦』第2期の雰囲気が、第1期と全然違う。それは作画どうこうの話ではなく、あんなに平和に野球をしていた者たちと世界がなぜ突如こんなにも容易く失われてしまうのか、その絶望に伴う変化である。

 第42話を機に海外のアニメ視聴者勢があまりの変貌ぶりを訴えるミームを投稿するようになり、それが今わたしのタイムラインに溢れ出ている。第43話、七海建人を目の前で殺され孤独で気が触れそうだった虎杖悠仁は、同級生の釘崎野薔薇の技を遠隔で感じとり、自分が一人じゃないことに気づいて安堵する。そしてその直後、真人の「無為転変」を受けた釘崎の顔面が破裂し、その体が床に倒れる様子を目の当たりにする。

 虎杖と釘崎は特に仲が良かった。原宿で初めて顔を合わせた2人は、どちらも地方出身ということもあって六本木に行くことに思いを馳せたり、(五条悟のお金で)美味しいものを食べに行ける時にはしゃいだりしていた。そんな2人と共に行動をしながら、突っ込んだり見守ったりしていたのが伏黒恵。3人はそれぞれと仲が良かった。伏黒は最初、虎杖が隣の部屋になるのを嫌がっていたが、気がつけば虎杖からお手製の鶏団子鍋の作り方を教わっているし、一緒に秋葉原で五条を尾行するなど(「休日徊詮」)ものすごく仲良くなっている。“一年ズ”が楽しく過ごしている日常回は、特にノベライズ作品で堪能できた。

 もちろん、アニメでも彼らの仲は随所で描かれている。虎杖の中学の同級生に偶然出会った時、釘崎と伏黒は一緒に恋バナを聞いて盛り上がっていた。意外と伏黒もノリノリだったのが良い。思えば彼は子供の頃から大変な環境に身を置いて暮らしていたし、中学の時もケンカが強くて恐れられていたからこんなに仲良くなれる友達はいなかったのだろう。釘崎も、生まれ育った村を嫌悪し、地元出身の同級生をボコる一方で転校生のフミや東京から来たさおりちゃんなど、“外の世界”から来た者と仲良くなっていた。虎杖も中学で“西中の虎”の異名を持つほどで、面白いことに3人がそれぞれ同級生をボコボコにしてきた過去があるのだ。

呪術廻戦

 彼らは楽しい時だけ一緒にいるわけじゃない。辛い時も、傷ついた時もお互いがお互いのためにいた。印象的だったのは、交流会が終わった後、ベッドで寝ている伏黒の膝にピザを置いて、3人で一緒に食べていたシーン。誰かが傷ついても2人が近くにいるし、すぐにくだらない会話をして日常を思い出させてくれる。その象徴にもなった場面だが、これまでの彼らを振り返ると特に虎杖が悩んでいる時、伏黒と釘崎はそれぞれの考えを共有することで新たな視点をもたらしてきた。

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