『ブギウギ』“どうするスズ子”状態を励ました羽鳥の姿勢 決意に満ちた楽団結成の瞬間
戦禍を被り、客足は減る一方の梅丸楽劇団。戦地へと招集される楽団員も後を絶たず、ついに劇団の解散が辛島(安井順平)からスズ子(趣里)や羽鳥(草彅剛)たちに告げられた。トランペット奏者でバンマスの一井(陰山泰)から「福来くんはどうするつもりだい?」と聞かれ、答えが見つからないスズ子。朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)第45話は、“どうするスズ子”状態の彼女が再起するまでの物語だ。その選択をするまでには、羽鳥や茨田(菊地凛子)、梅吉(柳葉敏郎)の言葉、存在があった。
楽劇団の解散から数週間、スズ子は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。USKの林(橋本じゅん)から大阪で再びステージに立つ誘いを受けるも、東京と同じように自由には歌うことができないこと、それにはな湯をゴンベエ(宇野祥平)らに託して梅吉と上京して来た手前、今更あそこにもう一度ということも気が引ける(常連たちは歓迎してくれるだろうが)。
東京に来て2年。全てが変わってしまった今の状況からどうすればいいのか、スズ子は羽鳥の下を訪ねる。「東京か大阪なんて問題じゃない。君が楽しめる場所で歌えばいいさ」と相も変わらずポジティブな言葉をかけてくれる羽鳥。しかし、その裏では羽鳥もまた食事が喉を通らないほどに悩んでいることをスズ子は妻の麻里(市川実和子)を通して知るのだった。未来が不安なのは羽鳥も一緒。それでも前を向いている姿勢が何よりもスズ子を励ましていた。
羽鳥から招待券を譲り受け向かった茨田の公演。そこで目の当たりにしたのは、小劇場で自身の楽団を引き連れ歌う茨田の姿だった。スズ子は「別れのブルース」の歌唱に心掴まれただけでなく、「茨田りつ子とその楽団」を掲げ、このご時世でも歌い続けていることが大きな刺激となっていた。「雇われのあなたとは覚悟が違うの。誰に何を言われようと舞台にかじりついてでも、自分の歌を歌うのよ」と茨田はそれとなしにスズ子を鼓舞させていく。