『マイハル』親子の壁を壊す佐弥子のリノベーション力 道枝駿佑が大人と少年を演じ分ける

『マイハル』佐弥子のリノベーション力

 「俺はまだあんたのこと父親とは認めてないから」と啖呵を切って会場を去った拓だが、佐弥子と2人きりになると「スッキリした」と、その表情は思いのほか晴れやか。そして、こんなふうに思ったことをぶちまけた経験はなかったと笑うのだった。もしかしたら佐弥子の「リノベーションの才能」は、真保と拓の親子関係の再生にも通じていたのかもしれない。「空間を読み取る力」は言葉にならない真意を汲み取る優しさであり、「あるものを活かす力」はそこにある想いを諦めない心とも言える。佐弥子は、その直感レベルで感じたものを素直に相手に伝えたり、実行することの大切さを、学び直しのタイミングで心得たように思う。

 30歳にして大学に入ったことも、10歳年の離れた拓と付き合ったことも「後悔しない」と、佐弥子が母・久美子役(いしのようこ)に話していたシーンが印象的だった。素直になるというのは簡単なことのように聞こえるけれど、自分の言葉に責任を持つ大人になるほど難しくなるもの。だからこそ、素直さと責任感のバランスを取ろうともがくことで、人間としての器を大きくしていくのかもしれない。

 一方、サグラダファミリ家で生まれたもう一つの恋を通じて、ルームメイトたちがそれぞれの大切な想いに対して素直になっていく様子も描かれた。寛太(濱尾ノリタカ)への恋心を認めた澄香(箭内夢菜)。そして寛太も気づかぬうちに澄香がいかに大切な存在だったのかを受け入れていく。

また、この場所に集う人々がどれだけ自分らしくいさせてくれる大切なメンバーなのかを語る龍之介(水沢林太郎)に、決まりごとよりも人の気持ちが大切なのだと気づき恋愛禁止のルール撤廃に動いた真凜(飯沼愛)。そんな彼らを見ながら「成長したよね」と嬉しそうなキイナ(伊原六花)の笑顔もまた、第1話のころと比べると実に穏やかだ。

 素直になることは勇気がいる。それは、その一歩を踏み出すことで、自分自身が傷ついたり、大事な誰かを傷つけてしまうのではないかと躊躇するから。でも、現状を思い切って一度解体することでしか得られない快適な未来もある。そして、そんな大胆なリノベーションにこそ、それぞれの想いを汲み取る話し合いが重要だということが伝わる回だった。将来に向けて様々な可能性を模索する佐弥子と拓の間には、またもや関係性を見つめ直すタイミングがやってきそうだ。果たして、2人はしっかりと話し合って、お互いに納得のいく「未来」を設計することができるのだろうか。

■放送情報
火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:広瀬アリス、道枝駿佑(なにわ男子)、伊原六花、飯沼愛、水沢林太郎、箭内夢菜、濱尾ノリタカ、イモトアヤコ、安藤政信
脚本:北川亜矢子
主題歌:なにわ男子「I Wish」
挿入歌:asmi「開青」
プロデューサー:塩村香里
演出:青山貴洋、山本剛義、泉正英
企画:吉藤芽衣
編成:武田梓
製作:TBSスパークル
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mysecondaoharu_tbs/
公式X(旧Twitter):@myharu_tbs
公式Instagram:myharu_tbs
公式TikTok:@myharu_tbs

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