『ブギウギ』りつ子とスズ子、対照的な2人に共通する歌への思い 小夜役・富田望生の登場も

『ブギウギ』スズ子とりつ子が“歌”で対立

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第42話では、自分の信念を貫くりつ子(菊地凛子)と三尺四方の中だけで歌を表現することに葛藤していたスズ子(趣里)の対照的な姿が描かれた。

 時は昭和15年(1940年)。戦争がじわじわと市民の中にも浸透し始める中で、その影響は梅丸楽劇団(UGD)にも及んでいた。つけまつげをつけて、派手な衣装で歌って踊るのがスズ子のスタイルだったが、国のために派手なパフォーマンスは謹んで三尺四方の枠の中で踊るように強要されていた。だが、それは本来スズ子がしたかった歌と踊りではない。スズ子はその注意を無視して枠からはみ出してしまい警察に連行されてしまう。

 ようやく解放されたスズ子は羽鳥(草彅剛)に「ご迷惑をおかけして、えらいすいませんでした」と頭を下げるが、羽鳥は「楽しませてもらった」とスズ子を気にかける。一件落着したところで、UGDの制作部長である辛島(安井順平)がスズ子を伝蔵(坂田聡)の営むおでん屋に誘うのだった。「三尺四方なんて狭すぎるわ」と愚痴をこぼすスズ子に、辛島は「分かってる」と否定するわけでもなくスズ子の気持ちを受け止める。もちろん、辛島だって本当はスズ子に伸び伸びと歌って踊ってほしいと思っている。だが、辛島は立場上、警察には逆らうことはできない。板挟みになっている辛島の気持ちを思うともどかしいものがある。自分の信念を貫き続けるりつ子に対して、憧れにも似た感情を抱いていたスズ子に辛島はUGDの看板を背負って活動することの責任を語る。スズ子はどうしたってりつ子にはなれないのだ。

 スズ子が家に戻ると、梅吉(柳葉敏郎)は相変わらず泥酔して玄関の前で眠っていた。愛すべき妻をなくしたとはいえ、いつまでも怠惰な生活を続けている梅吉に呆れていたスズ子は、「脚本はもう書かへんの?」と問いかけるが、梅吉は「映画は人を助けてくれへん」ともう書く気がないようだ。あれだけ映画への夢を熱く語っていた梅吉だが、もう心にはそんな余裕はない。そんな時スズ子のもとに六郎(黒崎煌代)から手紙がくる。きっと戦地で大変な思いをしているだろうにカメの心配をするいつもの六郎に心があたたまる。「優しい息子やもん」と六郎のことを語る梅吉の表情はいつもの父親の顔に戻っていた。

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