『セクシー田中さん』は出会いの面白さを教えてくれる “特別”になりたいからこその辛さ

 それが自分と正反対なタイプならばなおのことだ。三好の憧れの人で特別な存在のアラ還有名ベリーダンサー・愛子先生(未唯mie)は、わがままで自由きまま、やりたいことに貪欲で平気で無理難題を三好に吹っかける、田中さんの自信を根こそぎ奪う人だ。そんな強敵を前に萎縮してしまう田中さんを朱里は冒頭の言葉で叱咤激励した。そうやって田中さんに声をかけながら、朱里も自身の中にあるモヤモヤを振り切ろうとしているのだろう。

 無理して取り繕うことばかりうまくなってしまった朱里からすれば、自身のキャパを上回る事態に見舞われた際に、ちゃんと落ち込んで焦って、自信喪失できる田中さんのことが眩しく見えるのかもしれない。そんな彼女に「朱里ちゃんの笑った顔は、小さな嘘と小さな優しさが混ざってる」とすぐに声をかける小西。彼からの気持ちには、これまで朱里が向けられてきた多くの好意の裏にあった“簡単そう”という見くびったようなところは全くない。小西が朱里に惹かれているのは、「若くて適度に馬鹿そうでちょっと頑張ればすぐに手に入りそうなちょうどいい存在」だからではない。進吾(川村壱馬)のように“頑張っても頑張っても自分に向き合ってくれない人”の方が記憶に残ってしまうのもわかるが、“しっかり自分に興味を持ってくれる人”の中でも、「取り繕っていない自分」に興味を持ち理解しようとしてくれる小西は、かなり貴重な存在だと言えるだろう。

 こうやってそれぞれに自身が想う人にとっての超えられない“特別な存在”がいる中で、その特別な存在に直接教えを請おうとする笙野のどストレートさは群を抜いてピュアだとも言え、ちょっと感動すら覚えるところがある。

 次回、田中さんと愛子先生のステージ共演が観られるようだが、田中さんは無事乗り越えることができるのだろうか。

■放送情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tanakasan/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/ntv_tanakasan
公式Instagram:https://www.instagram.com/ntv_tanakasan
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@ntv_tanakasan

関連記事