『葬送のフリーレン』フェルン×シュタルクはどんな関係に? アニオリ描写から考える
緻密な心理描写と魅力あふれるキャラクターで話題のTVアニメ『葬送のフリーレン』。個性豊かな言動で注目を浴びているのは、主人公のフリーレンだけではない。
特に、クールな魔法使いの少女・フェルンとビビりの戦士・シュタルクはフリーレンと旅を共にする重要人物。本作を楽しむなかで、この2人がどんな間柄なのか気になった人もいるのではないだろうか?
原作にはないアニメ独自の演出を見ていくと、2人の間には恋心なのか友情なのか、何か特別な思いが漂っているように感じられる。本記事では、アニメ化によって加えられた描写をもとに、フェルンとシュタルクの独特な関係性を考察していこう。
シュタルクの言葉に目を見張ったフェルン
恋人や友人を問わず、人が自分と似た人に対して親しみを覚えるというのはよく聞く話だ。『葬送のフリーレン』のアニメ第6話では、これまで「育ての親のために行動してきた」フェルンが、シュタルクに共感を覚えるシーンが描かれている。
描写が追加されたのは、フリーレンを置いて2人が北側諸国へ行くための方法を探す場面。シュタルクはフェルンへ、旅のなかでたくさんの経験をし、師匠のアイゼンへ土産話を持ち帰りたいと話した。
「俺にできる恩返しはこれぐらいだからさ」と言うシュタルクを、フェルンは目を開きながら見つめるのだ。
このシーン、原作ではフェルンの顔がアップになっておらず、目も大きくは開いていない。しかしアニメではフェルンの顔が大きく映され、驚きや感動を表す「目を見張る」動きがはっきりと描かれた。
これまで育ての親であるハイターに恩を返すために魔法を習得し、旅をしてきたフェルン。目の描写によって、彼女が自分と同じように恩を重んじるシュタルクに心を動かされたことを伝えているのだろう。
さらにこの後、彼女は開いた目を伏せ、ふっと吐息をつきながらわずかに笑う。吐息に込められた思いは、シュタルクに対する同志としての信頼感か、はたまた恋心に近い感情か。
真実はわからないものの、フェルンが自分とシュタルクを重ね合わせ、共感できる特別な存在として彼を認識したのは確実だろう。
手を差し伸べるシュタルクをガン無視
アニメオリジナルの演出には、視聴者の笑いを誘いつつ、シュタルクがフェルンへ抱く特別な思いを描くシーンも含まれる。アニメ第8話、監禁されたドラナト伯爵を救うために2人が屋敷へ忍び込む場面を覚えているだろうか。
建物を乗り越えるために窓につかまり、地面にいるフェルンに手を差し伸べるシュタルクを、彼女は無視して魔法で浮遊。シュタルクは「なんだこの野郎」と文句を言いたげな表情であり、一見すると不穏な空気が漂う場面である。
しかし、少女漫画やラブコメアニメの定番公式「ムカつくやつ=気になるやつ」が成り立つと考えればこのシーンの意味は一変。恐らくこの一連の描写は、フェルンに対するシュタルクの強い興味を表しているのではないか。
そもそもフェルンが魔法使いで飛べることはシュタルクも知っているのだから、本来なら手を差し伸べる必要はない。それでも手を貸そうとしたのは、シュタルクがバカなのか、フェルンにカッコを付けたかったからなのか……。
仲間意識より強力なフェルンへの思いが感じられるこの行動。手を差し伸べるシーンが原作にないことからも、アニメの制作陣が「わざわざこの描写を含めた」意味を私たちは考える必要があるだろう。