『劇場版 うた☆プリ』再上映にリピーターが相次ぐ理由 週替わりで用意された“推しの今”

 最近では『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』のヒットなども話題になっており、男性アイドルによる全編ライブアニメーションの劇場作品公開は珍しいものではない。しかし、『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』の魅力は、アニメシリーズから引き継がれている、『うたプリ』らしいファンタジー感のある楽曲の演出だ。ライブの臨場感はもちろんのこと、キャラクターたちが単に歌っているだけでなく、歌詞の世界観が視覚的に表現されているのだ。

 例えば、今回のライブは「音楽で世界を旅する」というテーマに沿って、各国をモチーフにしたパフォーマンスが展開されている。セシルのソロ曲の「トリッドラヴ」では、エジプトらしい神殿の柱の中を、セシルが舞いながら歌う。一方、フランスを舞台にした那月の「愛をボナペティ♪」では、「ゼスプリ」を彷彿させるマカロンの妖精(ゼスプリ公式に認知されている)が登場したりと、“歌がなせる魔法”の世界を視覚化しているかのよう。「完全なライブ再現」にこだわるだけではない、うたプリらしいライブの見せ方につい引き込まれてしまうのだ。

 また、ライブならではの細かいカットへのこだわりも感じられた。各楽曲では、メインボーカルに対して、1人または2人のメンバーがバックダンサーについていたが、カメラが抜く後ろのメンバーの表情がこれまた良い。個人的には真斗のソロ曲「Snow Ballade」の時に、手持ちランプの灯りを消すレンの悪戯な表情が印象的だった。そこから、地面の蝋燭に幻想的なオレンジの灯がつき、“青とオレンジ”の美しいコントラストが際立つのも粋な演出だった。

 ツアーの地域ごとにMCの内容やセトリが変わるように、『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』もライブを観るタイミングによって変化を見せる。ファンにとって、見逃すことのできない“推しの今”を大きなスクリーンで観たい気持ちが、劇場に足を運ぶ原動力になっているのだろう。

■公開情報
『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』
公開中
原作:上松範康(ブロッコリー)
監督:永岡智佳
声の出演:寺島拓篤、鈴村健一、谷山紀章、宮野真守、諏訪部順一、下野紘、鳥海浩輔
キャラクターデザイン原案:倉花千夏
キャラクターデザイン:藤岡真紀
CG ディレクター:中島宏
サブ CG ディレクター:大川威
キャラクターモデリングディレクター:宮嶋克佳
音楽:Elements Garden
制作:A-1 Pictures
配給:松竹
製作:うた☆プリ劇場版 ST 製作委員会

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