達哉を演じる町田啓太の魅力も忘れてはならない。Season1からしっかりと示されてきた達哉の誠実さは、都知事選でも都民を惹きつける力となる。町田の爽やかな笑顔や真っすぐな瞳は、欺瞞に溢れるこの世界の中で一服の清涼剤のように美しく澄み渡るのだ。このコントラストがあるからこそ、Season3はさらに奥行きを増す。冤罪事件で追い詰められたときの達哉とは、また違った一面が楽しめる。

　Season3で特に注目してほしいポイントを挙げていきたい。まずはやはり、拳一と達哉の関係だろう。“親子”という縁をはっきり理解した上で2人の関係を観ることができるのはSeason3だからこそ。ドラマを観る際には「父親だからなのか」「息子だからなのか」という視点が入ってくることになる。計略に組み込まれる親子の信頼関係と裏切りの応戦は、視聴者を大いにハラハラドキドキさせてくれることだろう。また、東京湾埋立事業にも“縁”は絡んでくる。やはり頭でどれだけ計算し、理論上正しくとも、人間の感情の部分は無視できない。そのジレンマこそが『フィクサー』の面白さなのだ。正しいことだけが正義ではないこの『フィクサー』の世界で、揺れ動く各々のキャラクターの感情にも注目だ。

　そして、これまでSeason1から観てきた人にとって気になる丸岡（要潤）の存在だが、実は嬉しい登場がある。もしもまだSeason3を見始めていないのなら、どんなかたちで登場するのかもお楽しみに。

　最終話ではついに、拳一が達哉を振り回す“目的”が明らかになる。これまで何のために拳一がフィクサーとして裏の世界で動いてきたのかの真相ともいえる部分が明かされるのだ。拳一に巻き込まれていく人々の様子も含め、まだまだ『フィクサー』は私たちを惹きつけてやまない。ぜひシリーズ集大成となる本作の最終話を見届けてほしい。

■放送・配信情報
『連続ドラマW フィクサー』Season3（全5話）
WOWOWプライム・WOWOWオンデマンドにて、毎週日曜22:00〜放送・配信
Season1：WOWOWオンデマンドにて、配信中（全5話）
Season2：WOWOWオンデマンドにて、配信中（全5話）
出演：唐沢寿明、町田啓太、小泉孝太郎、斉藤由貴、石坂浩二、高島礼子、古田新太、内田有紀、小林薫
脚本：井上由美子
企画・プロデュース：青木泰憲
監督：西浦正記、池澤辰也
音楽：得田真裕
プロデューサー：村松亜樹、髙田良平、黒沢淳
制作協力：リオネス
製作著作：WOWOW
公式サイト：https://www.wowow.co.jp/drama/original/fixer3/

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