『セクシー田中さん』の金言「正解を自分で選び取るしかない」 毎熊克哉の“心変わり”も
「正解がないから迷うんです。自分がこうありたい正解を自分で選び取るしかない。自分の足を地にしっかりつけて生きたかった。多分だからベリーダンスなんです」
田中京子(木南晴夏)の魅力に気づいてしまった人物がまた1人増えた『セクシー田中さん』(日本テレビ系)第2話。
鶏肉の特売品を巡って彼女とスーパーでたまたま出会い、その際に教えてもらったフェセンジュンを求めペルシャ料理店「Sabalan」にやって来た笙野(毎熊克哉)は、ベリーダンサーSaliとしての顔の田中さんに遭遇。あからさまに怪訝そうな表情を見せ「あんたいくつだよ! おばさんが、なんつ〜格好してんですか、痛々しい! よくそんな格好して人前で踊れますね」とデリカシーの欠片もない言葉を投げつける。
しかし、この笙野にも彼の中で女性観に偏りが生まれてしまったトラウマがあった。彼にはかつて結婚まで考えており実家にも挨拶に行った彼女・実花(日比美思)がいたのだが、突然フェードアウトされ、そして気づいた時には彼女は他の男性と結婚退職。別れの原因もいまだにわからない元カノのことがずっと忘れられず引きずり続けている笙野は、なんとか自分を納得させようと実花のスカート丈やまつ毛の盛り具合、髪の色など、誰しもが一目で分かるような外見で女性をカテゴライズするようになる。少なくとも一定期間は誰より近くにいた存在のはずなのに結局のところ彼女の本音がわからず、今やもうそれを知る手立てもなく、代わりに見た目でラベリングし自分のことを必死で守るしかない笙野も哀れでもある。
しかし、自分にとって唯一無二の“推し”である田中さんに無礼を働いた笙野のことが許せない倉橋朱里(生見愛瑠)は、小西(前田公輝)から彼の好みのタイプを聞き出し、それに合致する“天然ブラックホール”こと百合ちゃん(高崎かなみ)と引き合わせ沼らせて、痛い目に遭わせようとする。しかしそれが却って、笙野に“人は見た目に寄らない”ということをつくづく再学習させる良い機会になった。
そんな笙野からは「あんな衣装を着て男に媚び売って“わざわざ私はふしだらです。誤解してください”って言ってるようなもんですよ。もったいないと思います!」と言われたベリーダンスだが、田中さんはなぜ自分がここまでベリーダンスに魅せられているのか、冒頭の言葉で表現した。
「これが正統だって言い切れる正解の形が見えない」と、田中さんは言ったが、世の中はそんな事象に溢れている。“安易なセクシーさの表象としての一面”と“女性性や精神を解放してむしろ誰にも媚びずに自由に生きる”ことの間で、“他者の意見を跳ね除けて強く生きる”のか“全てを内包して柔く共存したい”のか、その間で揺れながら常に引き裂かれそうになりながらも、自分にとっての“最適解”を見出していくしかない。
既婚者でそもそも全ての女性を愛せてしまう女性への敬意と包容力に溢れた三好(安田顕)からのなんてことない一言に支えられながらも、そんな類の言葉は自分だけに掛けてくれているものではないこともちゃんとわかっている。だからこそこの関係をどうこうしたいと考えることもないけれども、それでもやはり三好に褒められると浮き立つ心を抑えられない。あれだけ真面目な田中さん自身が“正しさ”だけが人を救ってくれるわけではないことを教えてくれる。