『MEG ザ・モンスターズ2』は最高のサマームービーだ 海底→海上で切り替わる巧みな構成

 人類最強の男ジェイソン・ステイサムが、巨大人食いザメとタイマン勝負! 全世界で“MEG”Aヒットを記録した『MEG ザ・モンスター』の第2弾『MEG ザ・モンスターズ2』が、8月25日より全国公開。週末興行成績で初登場1位、翌週も2位にランクインするなど、日本でもメグ旋風が吹き荒れている。というわけで、本作の魅力について考察していきたい。

 思えば、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』(1975年)が公開されたのは、今からおよそ50年前。半世紀という時が流れ、今やサメ映画は一大ジャンルとして隆盛を誇っている。まさに百花繚乱、千紫万紅。ここ10年でも、サメの頭が2つあったり(『ダブルヘッド・ジョーズ』(2012年))、竜巻に巻き込まれたサメが空から降ってきたり(『シャークネード』(2013年))、トイレに潜んでいたり(『ハウス・シャーク』(2017年))、亜種・変種も数多く作られている。『ノー・シャーク』(2022年)に至っては、そもそもサメが出てこないというアバンギャルドさだ。

 そういう意味では、200万年前に絶滅したはずのメガロドンが突然現れるという荒唐無稽さはあるものの、『MEG ザ・モンスター』は正統派サメ映画の系列に属する作品と言える。メガロドンは空を飛んだりしないし、目から熱線を発射しないし、機械の体になったりもしない。海の暴れん坊が非力な人間を追いかけ回すという、王道のサメ映画である。

 た・だ・し。主演を務めるのは、我らがジェイソン・ステイサムだ。不屈の男、ジェイソン・ステイサムだ。命知らずの、ジェイソン・ステイサムだ。彼はメガロドンから逃げ回るどころか、銛一本で戦いを挑む。溢れ出す“午後のロードショー”感。『MEG ザ・モンスター』シリーズは、凶悪なサメが襲いかかってくる恐怖に打ち震えるのではなく、常軌を逸したステイサムの身体能力に酔いしれるべき作品なのである。

 『MEG ザ・モンスターズ2』のオープニングは、遥かなる太古、恐竜が跋扈していた時代。小さな恐竜を別の恐竜が捕食し、その恐竜をティラノサウルスが捕食し、そのティラノサウルスをメガロドンが捕食する。食物連鎖の頂点にこの巨大ザメが君臨していることを、映画は冒頭から高らかに宣言する。とにかくデカいものが強いという、分かりやすい弱肉強食ぶり。そんなメガロドンを、ステイサム兄貴がコテンパンにやっつけてしまう。それゆえに本作は爽快なのであり、血湧き肉躍るのだ。

 しかも彼は、完全無欠のヒーローというよりは、どこか悲壮感を漂わせたキャラクター。昔のアーノルド・シュワルツェネッガーやドルフ・ラングレンは、目元がキリっと上がり、口を真一文字に結んでいて、見た目からして冷酷殺人マシーン感がアリアリだった。それに比べ、目尻が下がったシルヴェスター・スタローン系列に属するステイサムは、その背中に悲哀を感じさせる。

 彼が演じるジョナス・テイラーは、潜水艦の乗組員救助で仲間を救えなかったトラウマから、二度と海には潜らないと決意し、酒浸りの生活を送っていた。等身大の孤独な中年親父を体現できるからこそ、メガロドンとのガチバトルに我々は拍手を送ってしまうのである。

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