『こっち向いてよ向井くん』赤楚衛二が刻む“誠実な男のリアル” 別れの決断に感じた成長
赤楚衛二主演の日本テレビ系水曜ドラマ『こっち向いてよ向井くん』。元カノ・美和子(生田絵梨花)への想いをひきずる向井くん(赤楚衛二)が10年ぶりの恋を始める姿が描かれる今作。第7話の最後では、10年ぶりの再会後、これまで曖昧な関係を続けてきた美和子へついに自分から別れを告げる決断を下した向井くんの姿が描かれた。10年前に2人が別れた理由は、結婚への価値観の違いだったのだ。
第5話で学生時代のサークルの友人たちとの飲み会で美和子と再会。その後、美和子の部屋に通う幸せな日々を過ごすも、美和子にとって向井くんは、あくまでも寂しさを紛らわす元カレ。向井くんが美和子にそのことを問うと、「ごめん、私、曖昧だったよね。どうする? 向井くんが嫌ならもう会うのやめる? 甘えちゃってたよね、私も再会して楽しかったから」と返答。美和子は、相手に選択権を与え決断させるという、向井くんの心の声が言うように本当にズルい人。ただここで向井くんが「嫌じゃない、また会おう」と返す。思わず、「プライドはないのかよ」と思ってしまった。でも手放したくないのも心理だろう。ここでそういう関係だと割り切ってもいいとは思うが、そこは真面目な向井くんは思い悩む。
そして第7話で、美和子に「結婚が幸せ」という価値観がないことが明かされた。
前カレについては、プロポーズされたことが理由で別れたという。向井くんが10年前に「守るって何?」と聞かれて答えられなかったことについては、美和子は「ちゃんと答えてたよ」と言い、確かに回想シーンで向井くんは「何からだって守るよ」と答えていた。その時に、美和子は「ダメだこりゃ」と思ったという再び衝撃発言。美和子は「向井くんは結婚したいんだ、2人の関係は結婚につながるって思って疑ってないんだ。結婚することが幸せになる方法だと思ってるんだって、そう思ったらすごく遠く感じた」と理由を語った。
「なんて言うのが正解だった?」と聞くも、「分からない。分からないから一緒に考えてほしかった。私の話も聞いてほしかった。でも、ああやって笑ってごまかすのも向井くんの優しさだって分かってるから。そういう優しいところ好きだった」と言って、向井くんの胸に顔をうずめる。「ズルくない? 俺はどうすればいいの?」という向井くんに、「分かんないから、このままでいよ」と言って、2人はキスをしてベッドへ。今の居心地の良い関係が続けばいいというのは本音だろう。
「このままでいよ?」と言われたことに悩む向井くんは恋愛相談相手の洸稀(波瑠)に「優しい人は止まり木として利用されて終わっちゃうよ」と指摘されたり、父・隆(光石研)に「自分の人生の舵は自分が取る」と助言を受け、一晩考えた末に、決断をする。
「美和子はいつまでここにいるの? もう十分、俺で休んだんじゃないの?」と、美和子の結婚したくない気持ちに向き合う必要性を伝える。美和子は「世の中には独身でも幸せな人はいるじゃない」と独身論を語り、「私にとっては結婚するって長いものに巻かれるみたいなことなの」と、長いものとは美和子の父親の価値観で、美和子が尊敬する登山好きの叔母さんを父親は独身でかわいそうだと思っている、そうした価値観への反発だ。
当然ながら、向井くんは今でも美和子を好きだろうし、互いの欲を満たすこのままの関係も居心地がいいだろう。ただ、それでは自分が苦しいだけでなく、美和子がその先に進めない。そんな美和子のためを思って「ここにいるべきではない」という思いを伝えての決断だった。これぞ究極の優しさかもしれない。そして自分の考えをしっかり伝えたことで、向井くんの成長を感じた。