『らんまん』胸が張り裂ける園子の死 朝ドラの分岐点として象徴的に描かれる大切な人の死

『らんまん』朝ドラで描かれる大切な人の死

 作中で戦時下を取り上げた朝ドラでは、主人公にとって大切な人の死が象徴的に描かれることで、我々もまた戦争について繰り返し考える機会を得ることになる。『エール』では、主人公の裕一(窪田正孝)が戦地に赴くだけでなく恩師の藤堂先生(森山直太朗)が戦争で命を落とす。また、『カムカムエヴリバディ』ではヒロイン・安子(上白石萌音)の夫である稔(松村北斗)が戦死し、安子は一人で幼子を育てることになった。この出来事は、ヒロインとその娘、孫の人生においても大きな分岐点となる。

『スカーレット』は“幸せの探し方”を教えてくれた 苦しみの中に光るひとすじの灯火

「たとえ明日世界が滅びるとしても、 私は今日りんごの木を植えるだろう」  喜美子(戸田恵梨香)の最愛の息子・武志(伊藤健太郎)…

 親よりも先に子が亡くなるという物語は特につらく苦しいものがある。『花子とアン』では主人公の息子である歩(横山歩)が疫痢を患い若干4歳にして命を落とす。また『スカーレット』でも、主人公の息子の武志(伊藤健太郎)が白血病で亡くなった。わが子を病で失うという点では、『らんまん』の園子と重なるものがある。

 これまで明るく前向きな万太郎の姿が象徴的だった『らんまん』だけに、園子の病死という受け入れ難い苦しみが容赦なく視聴者を襲う。今はただ、万太郎や寿恵子の気持ちに寄り添うばかりだ。

 SNSではこうしたシビアな展開に「空に向かって手を伸ばす園ちゃんに号泣した」、「万太郎と寿恵子の気持ちを考えたら、いたたまれない」などの反響が寄せられた。

 峰屋の腐造、園子の死と、苦しい出来事が一気に押し寄せた第18週。どうか来週は、万太郎と寿恵子が手を取り合って力強い一歩を踏み出してほしい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】 
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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