『セレブリティ』が描くファンダムの“危うさ” 『【推しの子】』にも通じるメッセージ
Instagramビジネスや芸能界の裏側を暴く一方で、何に対して最も問題意識を持つべきか。インフルエンサー、ソ・アリを殺したのは“誰”か。徐々に明かされる経緯を知ることで、私たちはそれが簡単ではない、しかし深く心に留意するべき答えであることに気付かされるのだ。『セレブリティ』や『【推しの子】』のように、ファンダムの誹謗中傷について取り上げる作品が近年増加傾向にあることも、それだけ語られるべきイシューであることを考える必要がある。
そもそも他人をなぜ攻撃したくなるのか。自分は500円の弁当を食べているのに、友達はInstagramに1500円のランチを載せているとか、最後に旅行に行ったのがいつか思い出せないのに、知り合いは常にタイとかどこかのビーチフォトをアップしているとか。SNSで生活をシェアすることが当たり前になってしばらく経つが、そのせいで私たちは簡単に自分と誰かを比べてしまう。そこで生まれるやるせなさ、嫉妬、怒り、そういう負の感情が集まって怪物となり、インターネット上の誰かが餌食になる。そして生まれる悲劇を起こさないためにも、私たちは結局のところ“セルフラブ”に向き合うほかないのだと思う。
自分は自分でいていい。自分をより愛する考え。聞こえはいいが、心底そんなふうに自分を信じることは、誰しもができることではない。だからこそ、今後は誹謗中傷による悲劇だけではなく、誰かと自分を比べないような価値観をインスパイアしてくれるような物語が生まれるタイミングになってもいいのかもしれない。
■配信情報
『セレブリティ』
Netflixにて配信中
出演:パク・ギュヨン、カン・ミンヒョク、イ・チョンア、イ・ドンゴン