『VIVANT』タイトルの謎が解明もさらなる種明かしに期待? 大陸への憧憬と地政学的視点

『VIVANT』大陸への憧憬と地政学的視点

 7月23日放送の『VIVANT』(TBS系)第2話では、タイトルの謎が解き明かされた。「お前は世界中を巻き込む大きな渦に入り込んだ」。130億円を回収するため、中央アジアのバルカ共和国にやってきた乃木憂助(堺雅人)は、テロ組織の一員に間違われて地元警察から追われる身となった。途中で知り合った公安部外事課の野崎(阿部寛)、医師の柚木薫(二階堂ふみ)とともに、警察の包囲網を振り切って日本大使館に駆け込む。ここまでが前週だ。

 第2話で国外脱出を試みる乃木たちに密通者の魔の手が忍び寄る。乃木たちはチンギス(Barslkhagva Batbold)率いるバルカ警察の機先を制して国境へ向かう。薫の願いを聞き入れてジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)の元へ足を運ぶ間に、チンギスたちは国境の警備を強化。唯一警備が手薄で、地元民に“死の砂漠”として恐れられるアド砂漠を超えるルートを進むことになった。

 イスラムの衣装に身を包んだ阿部寛を見た瞬間、あまりの溶け込みぶりに声を失った。一大スペクタクルの本作に対して、第2話を観終えた今もふさわしい形容詞が見つかっていない。既定路線から逸脱し、新奇性を演出する『VIVANT』は話題性と注目度からすると、ひとまず成功を収めたと言える。その本質が忖度なしに視聴者に観たことのない風景を見せることや、予定調和ではない未知との遭遇にあることはたしかだ。

 本作のストーリー進行はいたってシンプルだ。バルカ警察の追跡を振り切る決死の逃走劇は、第1話に続き第2話でも繰り広げられた。大使館の地下に張り巡らされた地下通路はさながら迷宮のようで、『インディ・ジョーンズ』シリーズに通じる雰囲気もあった。その上で、アドベンチャー指向の作風に独自のテイストを加えているのが、タイトル「ヴィヴァン」をめぐる謎と全編に漂う大陸・アジアへの憧憬である。

 タイトルの「ヴィヴァン」について、第1話終了後にも考察が飛び交っており、本作の核心的な謎として注目が集まったが、その意味に関しては案外あっさりと決着がついた。フランス語に由来する“ヴィヴァン”なる言葉は、現地語でヴィカン→BEKKAN→BEBBAN→BEPPANという変遷を経て、「別班」として読み解かれる。言葉遊びのような解釈に一瞬拍子抜けしたが、野崎の説明を聞くと、たしかにこれは「世界中を巻き込む大きな渦」だと納得した。一方で本当にそうなのかという疑問もある。もっと深いテーマが込められており、驚きの種明かしがあるのではないかと思わせるのだ。

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