『インディ・ジョーンズ』最新作、北米で首位陥落 第3位には物議を醸すヒット作が登場

 7月7日~9日の北米映画週末興行収入ランキングは、映画ファンがつい語りたくなる2本がランクインして、にわかに話題を呼んでいる。第1位は人気ホラー『インシディアス』シリーズ最新作『Insidious: The Red Door(原題)』で、業界の予想を覆すスマッシュヒット。第3位に初登場した『Sound of Freedom(原題)』は、社会派映画か、“極右系陰謀論”Qアノンに関連する映画かと物議を醸しているアクションスリラーだ。

 第1位『Insidious: The Red Door』は、シリーズ第1作『インシディアス』(2011年)と第2作『インシディアス 第2章』(2013年)から直結する“3部作の完結編”で、同2作の主演を務めたパトリック・ウィルソンの監督デビュー作。ローズ・バーンやタイ・シンプキンスをはじめとするオリジナルキャストが復帰し、プロデューサーにはおなじみジェイソン・ブラム&ジェームズ・ワンが続投した。

INSIDIOUS: THE RED DOOR – Final Trailer

 北米では3日間で興行収入3265万ドルを稼ぎ出し、シリーズ史上では『インシディアス 第2章』の4027万ドルに続く歴代第2位のスタート。公開前は2500万ドル程度と予想されていたほか、製作費は1600万ドルと抑えめとあって、すでに黒字化は確実だ。本作の登場を受け、前週1位の『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は早くも首位陥落となった。

 また、海外市場でも初動興収3140万ドルという好記録を樹立。海外市場におけるホラー映画の初動興収としてはコロナ禍で最高の成績を叩き出した。現時点での世界累計興収は6405万ドルとなっている。

 ソニー・ピクチャーズにとって、この『Insidious: The Red Door』は『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に続く今夏のヒット作。コロナ禍において、ユニバーサル・ピクチャーズやパラマウント・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザースなどの競合他社がホラージャンルに積極的に取り組んできた一方、ソニーは意外にもホラー映画にそれほど大きな力を注いでこなかった。

 もっとも本作の北米初動興収は、最近映画ファンの話題をさらった『M3GAN/ミーガン』や『Smile スマイル』『死霊のはらわた ライジング』などをしのぐもの。大作・話題作がひしめく夏の商戦に果敢にも挑戦したスタジオの慧眼が証明された。宣伝的には、タイトル通りの“赤い扉”を街頭に設置し、通行人を驚かせるキャンペーンがSNSで話題を呼んだものの、近頃のホラー映画にみられる大型SNS作戦ほど派手な試みは行われておらず、『インシディアス』シリーズのポテンシャルを見せつけた格好だ。

 
 
 
 
 
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 したがって懸念があるとすれば、2週目以降の推移のみである。ファンの期待を煽ることに成功した本作だが、Rotten Tomatoesでは批評家スコア37%・観客スコア71%、出口調査に基づくCinemaScoreでは「C+」とかなり渋い評価。傾向的には、ここから口コミで新たな観客を巻き込んでいくことは難しそうだが……。

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