『君は放課後インソムニア』は憧れが詰まり過ぎで悶えっぱなし 奥平大兼に私はなりたい

『君は放課後インソムニア』に悶え続ける

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、交流戦優勝ありがとう石井が『君は放課後インソムニア』をプッシュします。

『君は放課後インソムニア』

 6月22日に最終回を迎えたドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)。セックスレスに悩む2組の夫婦の姿を通して、愛すること、愛されること、ともに暮らすということ、生きていくということ……全11話を通してさまざまな気づきを与えてくれました。結婚6年目となる私にとっては、他人事ではないことばかりで、いまこのタイミングで『あなたがしてくれなくても』に出会えたことに大いに感謝せねばならぬと思ったものでした。

 その一方、毎週観終わった後に残る“重さ”。エンタメ作品として、生きていく上での教材として、多いに楽しませてもらったものの、ビターな後味ですっきり爽やかではなかったのも事実。そんな苦味と対極な爽やかさ、いや、甘さで満ちあふれていたのが映画『君は放課後インソムニア』です。

 原作は『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中のオジロマコトによる青春漫画。不眠症という共通点を持つ高校生2人が、天文部として活動することになり、互いの心の傷を埋めていくというのがおおまかなあらすじです。

 インソムニア=不眠症。クリストファー・ノーラン監督作『インソムニア』がそうだったように、なんとなく不穏な空気といいますか、単語の意味からもどんよりしたものを想起させる言葉であるにもかかわらず、「君は放課後」が前に付いた途端、恐ろしいほどの青春パワーと爽やかさが醸し出されるのは何なんでしょう。原作者のオジロさん恐るべしです。

 そして、そんな完璧なタイトルをそのままに、原作の爽やかなビジュアルそのままに、「これぞ青春」を体現してくれているのが森七菜と奥平大兼。2人とも実年齢を考えると高校生役を演じる機会も減っていくのは必然ですが、いまこのタイミング、このときに伊咲と丸太を演じてくれたことを神に感謝したいほどにハマり役です。

 こんな子がいたら、こんな自分になれたら、こんな出会い方、こんな場所でこんな思い出があったら……と、いつかの高校生だった自分にとっての“憧れ”がなんとまあ詰まっていること。池田千尋監督の演出も見事で、ドキュメンタリータッチとはまた違う、ファンタジーにも見える明らかにフィクション的風景なのに、かつて過ごしたあの頃と思ってしまうリアルさも内包されており、観ている間中、青春戻りたい病が再発して悶えっぱなしでした。

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