2023.06.15 16:00

池松壮亮主演『季節のない街』に濱田岳、前田敦子、又吉直樹ら出演　キャラポスターも

文＝リアルサウンド映画部

　8月9日よりディズニープラス「スター」にて独占配信されるドラマシリーズ『季節のない街』の第2弾キャストが発表され、あわせてキャラクターポスターが公開された。

　宮藤官九郎が企画・監督・脚本を担当し、池松壮亮が主演を務める本作は、宮藤が長年温めてきた企画で、山本周五郎の小説『季節のない街』を映像化する、仮設の街を舞台にした青春群像エンターテインメント。原作小説は、黒澤明監督が映画化し、『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されている。誰もがその日の暮らしに追われる“街”を舞台に生きる住人たちの悲喜を紡いだ小説をベースに、本作では、舞台となる「街」を、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある「街」へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失いこの「街」にやってきた主人公が、「街」の住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく様子を描く。

　主人公の半助こと田中新助を池松、街の青年部を率いるタツヤを仲野太賀、青年部のメンバーで酒屋の息子・オカベを渡辺大知がそれぞれ演じる。

　今回発表された新キャストは、三浦透子、濱田岳、増子直純、荒川良々、MEGUMI、高橋メアリージュン、又吉直樹、前田敦子、塚地武雅、YOUNG DAIS、大沢一菜、奥野瑛太、佐津川愛美、坂井真紀、片桐はいり、広岡由里子、LiLiCo、藤井隆、鶴見辰吾、ベンガル、岩松了の21名。

　公開された9種類のキャラクターポスターは、主人公・半助（池松壮亮）を取り巻く、個性的でワケありな街の住人を世帯やグループごとに分けてデザインしたもの。それぞれのキャッチコピーは、街の住人を観察し、それを報告すると収入を得ることができるため、街に潜入した半助目線の説明になっており、キャラクター同士の関係性や街での立ち位置が伝わるものになっている。

　池松演じる半助と相棒の猫・トラとの2ショットのキャラクターポスターのキャッチコピーは、「この街には、イロイロあるんです。」というもの。トラは、アニマル界では有名なベーコンが演じている。

　仲野演じるタツヤ一家のポスターのキャッチコピーは、「この街には、いびつな親子関係がある。」。母・しのぶを坂井、タツヤの兄・シンゴをラッパーとしても活躍するYOUNG DAISが演じる。

　渡辺演じるオカベが恋する、街でいちばん内気なかつ子を演じるのは、宮藤関連作初出演となる三浦。キャッチコピーには「この街には、一方通行の愛がある。」と書かれている。

　“どですかでん”と叫びながら、街の中を毎日一人で見えない電車を運転する六ちゃんを演じるのは濱田。その六ちゃんの母・くに子を宮藤組常連の片桐、六ちゃんの良き理解者であり、住人たちの愚痴を聞き、街を見守るたんばさんをベンガルが演じる。キャッチコピーは「この街には、電車が走っている。」。

　向かいあった仮設住宅に暮らし、夫婦揃って大親友の増田益夫と河口初太郎を怒髪天の増子と荒川、その妻である増田光代と河口良江を宮藤関連作初参加となる高橋とMEGUMIが演じる。「この街には、夫婦を超えた関係がある。」のキャッチコピーが添えられた。

　この街に慰問で訪れ、そのまま住みついてしまった元アイドル・沢上みさおを演じるのは、宮藤関連作初参加となる前田。そして、アイドル時代のみさおの熱心なファンで、5人の子どもを育てる優しい夫・沢上良太郎を塚地が演じる。キャッチコピーは、「この街には、大家族の絆がある。」。

　突然、街へやってきた気品をまとった男・島さん役を演じるのは藤井。その島さんの愛するワイフを、宮藤組初参加となるLiLiCoがド派手な衣装と奇抜なメイクで演じる。一見アンバランスにも見える2人の関係は、「この街には、究極の愛がある。」というキャッチコピーで表現されている。

　この街には、気品あるホームレスの親子も住んでいる。ホームレス父を、宮藤関連作へは初参加となるが、NHK『おやすみ日本眠いいね！』で宮藤と共同MCを務めている又吉、ホームレスの息子を、『こちらあみ子』でデビューを飾った大沢がそれぞれ演じる。キャッチコピーには「この街には、金はないが夢がある。」書かれているが、2人が語る夢とは。

　半助を雇い、街の情報を得ている怪しい男・三木本を演じるのは鶴見。街の暴れん坊・熊を奥野が演じる。キャッチコピーには、「この街には、ヤバいやつがいる。」と書かれており、問題だらけの仮設の街の“裏”を匂わせるポスターとなっている。

　そして、かつ子の育ての親である叔母・妙子を広岡、その夫・京太を岩松、半助の元彼女を佐津川が演じる。

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宮藤官九郎（企画・監督・脚本）

黒澤明監督の『どですかでん』には、当時の名優、怪優が顔を揃える。田中邦衛さん、井川比佐志さん、伴淳三郎さん、三波伸介さん、三谷昇さん、菅井きんさん。53年の時を経て、令和版を作るなら、誰を誰に変換しよう。映画好きの飲み会でいちばん盛り上がるやつ。楽しくないわけがありません。似てればいいってもんじゃない。例えば、濱田岳くんと別現場で会った際に、その優しい声と、スイッチが入った瞬間、うっすら目に狂気が宿るところが、六ちゃんにピッタリだと思ったけど「電車バカの役、やりません？」とは言いづらかったし、本人も「喜んで！」とはならないだろうから慎重に交渉しました。お母さん役の片桐はいりさん、荒川良々＆MEGUMIさん夫婦、増子直純＆高橋メアリージュンさん夫婦のように、他いないでしょう！というくらいバチっとハマるケースもあったし、藤井隆さんが溺愛する〝ワイフ〟のキャスティングで悩んだ末、自分の口からLiLiCoさんの名前が出た時は、ひょっとして俺、天才なのか？と勘違いしたし、塚地武雅さんと前田敦子さんの大家族を想像しただけでニヤニヤした。もう撮らなくていいかってくらい楽しかったです。

さらに撮影が始まると、現場は驚きの連続でした。いつか建てる家の話を淡々と語るホームレス親子。あんな表情豊かな又吉さん、見たことないです。大沢一菜さんの、時折、誰よりも大人に見える眼力の強さ。長男ばかり可愛がるお母さん役、坂井真紀さんの歪んだ母性、YOUNG DAISくんの飄々とした佇まい。長老役のベンガルさんの軽さと哀愁、ほぼ声を発しない三浦透子さんの説得力。飲んだくれの屁理屈男をあんな風にナチュラルに演じられるのは岩松了さんしかいないし、その奥さん役、広岡由里子さんの肝の据わった無表情。ただ一人、街に染まらない主人公の元恋人を好演してくださった佐津川愛美さん、ただひたすら危険な男を躊躇なく演じ切った奥野瑛太さん、白い黒幕、鶴見辰吾さん、季節はないけど個性はある街。どっちを向いても個性しかない。皆さんの素晴らしい瞬間をカメラに収めるだけで精一杯でした。