アーノルド・シュワルツェネッガーの魅力が全開! 『FUBAR』は今こそ観たい娯楽作

「私のメンターはアーノルド・シュワルツェネッガーです」

 こういうと、鼻で笑われることがある。「脳筋」という言葉があるように、マッチョは思考が単純だと揶揄されるケースが多々あるからかもしれない。だが、あの体は、意志と心の強さ、高みを目指す貪欲さだけでなく、目標までのビジョンを具体的に描いて戦略的にアプローチできるのを体現しているのだ。

 そんなアーノルドの最新作はNetflixドラマの『FUBAR』と、Netflixドキュメンタリーの『アーノルド』。立て続けに配信されたふたつを観れば、余すところなくアーノルドの魅力を感じてもらえるはずだ。そこで今回の記事では、『FUBAR』の面白さや、人間アーノルド・シュワルツェネッガーの魅力について掘り下げる。

アーノルド・シュワルツェネッガーはアメリカンドリームの体現者

 アーノルドは、言わずと知れたハリウッドを代表する大スターだ。80年代、90年代のハリウッド映画のタイトルを10本並べてみよ、と言われたら最低1本は彼の主演作品だろう。

 ハリウッドの大スターで後にカリフォルニアの州知事にもなったアーノルドだが、彼はアメリカ人ではなく、オーストリアからの移民だ。アメリカに渡ってきたのは21歳のときで、英語は全く話せなかった。しかしボディビルのトレーニングの傍ら、睡眠時間を極限まで削りつつ5年ほどで英語をマスターしたのだ。

 ボディビルのコンテストに出てチャンピオンの座を直走りつつ、事業を開始。彼は、他のボディビルダーに向けてボディビルディングのいろはを書いたサブスクニュースレタービジネスや、パートナーとレンガ職人の会社を始めた。また、ボディビルディングのコンペティションで得た賞金やセミナーで得た報酬を貯金して不動産投資を開始。不動産エンパイアを築いた。つまり、アーノルド・シュワルツェネッガーとして俳優デビューする前からアントレプレナーとして名前を轟かしていたのだ。

 それは、彼が当時のハリウッドにおいて規格外だったからに他ならない。当時は線が細い俳優が人気で、体格の良い彼は求められていなかった。そして端役などはなから興味なかったアーノルドは、スターになるために金から完全に自由になって役を選べる立場を目指したのだ。

 この目論見は見事に当たり、彼は俳優としての下積み経験がほとんど無いままスターに上り詰めていった。

Arnold | Official Trailer | Netflix

 Netflixドキュメンタリー『アーノルド』は、彼の人生を、幼少期からボディービルダー期、俳優期、州知事期の3つに分けて語っている。ビジネスの才能について言及しているのはボディービルダー期だが、この部分をより丁寧に綴っているのは、自伝『TOTAL RECALL(原題)』であることをここに書き添えておきたい。

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