『正義の天秤 Season2』（NHK総合）全体の折り返しとなる第3話は、杉村（北山宏光）がフィーチャーされる回。彼の中にある正義とルーム1という居場所、さらに今期から新たに登場している“サクサク”こと咲良（大原櫻子）との恋仲の続きが描かれていく。

　第2話で佐伯（奈緒）に自虐的に言い放っていたように、杉村もまた「ルーム1のお荷物同士」。そんな杉村は弁護を担当したホーム転落事件で無罪を勝ち取り、師団坂法律事務所のトップであり、咲良の父でもある西園寺清隆（竹中直人）から「企業法務の方が向いている」とルーム3に移ることを誘われる。咲良の存在をチラつかせる「パートナー」「将来は安泰」という甘い言葉で杉村を勧誘する西園寺。だが、杉村にはルーム1の弁護士としてやり残したことがあった。

　それがホーム転落事件の真相を明らかにすること。鷹野（亀梨和也）からの指示もあり、被告人・萩野正治（やついいちろう）に法廷での完全黙秘を強いることで、無罪を勝ち取りはしたが、その黙秘権によって杉村は萩野を追い詰めてしまってもいた。ルーム3に誘われている杉村にとっては最後かもしれない刑事事件に心残りがないように、という思いもあっただろうが、鷹野とともに真実を追求していくうちに次第と彼自身も正義を追い求めていくこととなる。

　気落ちしている杉村を励ますという目的もあるのだろうが、鷹野が彼を称賛する場面はあながち間違いでもない。説明下手な被告人に懸命に向き合い、裁判での完全黙秘もやり遂げながら、それによって傷ついた被害者遺族にも必死に寄り添おうとしている。思い出すのがシーズン1の第1話。釣りボートが転覆し、大手飲食グループの社長が溺死した事件で、目撃者から現場の映像をゲットしたのは杉村だった。当事者の心に寄り添う心、彼のキャラクターは変わらず描かれていることが分かる。