『コタローは1人暮らし』が肯定するさまざまな家族観 横山裕が川原瑛都に与える“無償の愛”

『コタローは1人暮らし』が描く“無償の愛”

 NASA(アメリカ航空宇宙局)では、家族を“直系家族”と“拡大家族”に分けて定義をしているらしい。スペースシャトルの打ち上げの際、特別室に招待されるのは直系家族だけ。宇宙飛行士に何か問題が起きた時に、真っ先に連絡がいくのも直系家族だそうだ。ちなみに直系家族とは、「①配偶者、②子ども、③子どもの配偶者」を指すのだが、ここに親や兄弟、祖父母などが入らないことに驚いた。つまりNASAは、血の繋がりのありなしよりも、“自分で選んだかどうか”を優先しているのだ。

 私はそれを知った時に、なんだか心が軽くなった。もちろん家族である以上、仲がいいに越したことはないのだが、そこに“選択肢”があると思うと、より一層家族を大事にできるような気がしてくる。血が繋がっているから大事にしなきゃ……という感情には義務感が含まれるけれど、“家族を大事にすることを選択している”と考えると、ものの見方が変わってくるのだ。

 だからこそ、『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)に登場するメンバーたちにも、さまざまな家族観があっていいと思う。自ら親を捨てた綾乃(百田夏菜子)の判断だって、何ひとつ間違っていない。一緒にいるのが辛くて、人生を悲観するくらいなら、関わらない方がいい。血の繋がりがある家族を捨てるというのは、罪悪感が芽生えるかもしれないけれど、一緒にいないことを“選択”したからこそ、綾乃はまた前向きに笑えるようになったのだから。

 だが、その一方で簡単には割り切れない思いがあることにも気付かされた。たとえば、コタロー(川原瑛都)は虐待されていたのに、父親のことを愛し続けている。それどころか、また一緒に暮らしたいとまで思っているのだ。「親だから一緒にいなきゃ」とか「血が繋がっているから」なんていう複雑な感情ではなく、ただ単純に父親のことを愛しているのだろう。

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