『コタローは1人暮らし』シビアなテーマを描きつつ心が温まる 白洲迅による“スパイス”も

心が温まる『コタローは1人暮らし』

 どんなに正しいと思う行動をしても、ふと“もしかしたら間違っていたのかもしれない”と不安になることがある。自分の行動が、ほかの誰かの人生を大きく変えてしまったのならなおのこと。『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』(テレビ朝日系)第3話は、コタロー(川原瑛都)の家族をバラバラにしてしまったことへの罪悪感を抱きながら生きている宇田(白洲迅)にスポットが当たった。

 前クールに放送されていた『大病院占拠』(日本テレビ系)の時にも感じたのだが、白洲迅は“何か”を抱えていそうな役柄がすごくハマる。ふと視線を落とした時の儚い笑顔や、他人を見つめる時の意味ありげな眼差し。『コタローは1人暮らし』でも、白洲が醸し出すアンニュイな雰囲気が作品に良いスパイスを効かせていた。

 そんな白洲が扮する“母上誘惑男”こと宇田。彼が本当に小夜梨(紺野まひる)を誘惑していたのかは分からないが、コタローが「母上は宇田殿の前ではよく笑っていたぞよ」と言うということは、悪い関係ではなかったのだろう。

 しかし、現在の宇田の状況があまりにつらすぎる。守ってあげたかったはずのコタローには、「父上が捕まったのはお主が警察にチクったせいだ!」と恨まれていて、信頼していた小夜梨はもうこの世にいない。「あの時、自分が通報していなかったら……」と後悔した瞬間もあったはずだ。

 ただ、コタローも、本当は宇田にSOSを出したのは自分だと分かっている。あの頃のコタローは、母が父から暴力を振るわれている時に、ベランダに逃げ込み、近くを歩いていた宇田に“気づいて”とサインを送った。

 でも、父を悪だと認めたくないという葛藤があったのだろう。だから、そのサインは本当にささやかで、“何もしていない”といえば、何もしていないように見えるくらいの些細な仕草で、宇田に“助けて”と訴えたのだ。コタローからしたら、賭けのような気持ちもあったのではないだろうか。

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