池田鉄洋、山脇辰哉、山谷花純、住田隆 『らんまん』東京編を盛り上げる十徳長屋俳優たち

 現在放送中の連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)。東京に着いた万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)は、名教館時代の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)の叔父の家を下宿先として紹介してもらったのだが、植物標本などの荷物が多すぎることから捨ててほしいと言われてしまい、自分たちで下宿先を探すことになる。万太郎と竹雄はドクダミが咲く薄暗い根津の長屋にたどり着いた。そこには愉快な仲間たちが住んでいた。

 本記事では、十徳長屋の個性豊かな住人を紹介していく。

どことなく頼りなさそうな棒手振りの及川福治(池田鉄洋)

 第28話で万太郎が植物標本を取り戻すため、倉木隼人(大東駿介)がふっかけた金額の倍以上払うと口にしたとき、「100!?」と誰よりも大きな声で驚いていた姿が心に残る。万太郎と竹雄、倉木の諍いを気にかけている様子を見せつつも、竹雄と倉木が取っ組み合いになると、とばっちりを受けたくないのか顔を合わせないよう背中を向けていた。公式サイトの人物紹介には“しっかり者の娘・小春と二人暮らし”とあるが、この一悶着の最中に福治のどこか頼りない様子が伝わってくるのは池田の演技の賜物といえる。

 福治を演じている池田鉄洋は、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍しており、そのコミカルでシュールな演技が魅力的だ。

 倉木の息子・健作(渋谷そらじ)のために奮闘した万太郎を、福治は晩飯に誘う。福治の笑顔には人の良さが感じられる。しかし万太郎が峰屋の当主として東京に来たわけではないと知るや否や、真っ先に落胆したのも福治だった。喜怒哀楽が素直に表れてしまう福治だが、「現金な人」に見えないのは、池田が嫌味なく演じているからだと考える。

お調子者な雰囲気漂う東大の落第生・堀井丈之助(山脇辰哉)

 竹雄と倉木が取っ組み合いになったとき、いささか腰は引けていたものの「よ、よしなさいよ」と声をかけ、ケンカを止めようと試みていたのが丈之助だ。

 丈之助を演じる山脇辰哉は、ドラマ『きれいのくに』(NHK総合)では、ほとんどの大人が“同じ顔”をした世界に暮らす高校生の一人・貴志を演じ、『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(NHK総合)では、木村多江、安藤玉恵演じる阿佐ヶ谷姉妹が大事な話をする時に集まる喫茶店「いとし」のマスターを演じていた。

 後述する、九兵衛(住田隆)とはウマが合うのか、九兵衛の言動に度々いい反応を示している。差配人のりん(安藤玉恵)から落第していることを明かされてしまうが、丈之助は怒るでも諌めるでもなく「おっと、りんさん! フフ……」と返していたのが面白い。

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