吉沢亮&村上虹郎のアクションのルーツは? 『東京リベンジャーズ2』を武道家が語る

 そして、待ちに待った続編である。

 前作で“死ななかった”ヒナタは、上映開始数分でまたもや殺される。ヒナタを救うために再び過去に戻ったタケミチは、かつての東京卍會創設メンバーでありながら、今は敵対する場地(永山絢斗)や一虎(村上虹郎)に出会う。

 この一虎に、筆者の気持ちは一気に持っていかれた。かわいい顔してフレンドリーでありながら、実戦になると意図的に相手の骨を折るというサイコパスぶり。打撃による打撲なら日にち薬で治るが、骨折となると時間もかかるし治療費もかさむ。なかなかにイヤな攻撃法である。原作全てを読めていないので明言はできないが、立ち関節を得意としている点から、ベースは古流柔術かもしれない。

映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-』本予告 2023年4月21日(金)/6月30日(金)前後編2部作公開

 一虎がマイキーと敵対するきっかけとなった出来事も、あまりにも悲しいしやり切れないが、冷静に考えると完全に逆恨みである。「マイキーのために良かれと思ってやった行動により、結果、人を殺めてしまい、少年院に入ることとなった。マイキーのせいだ。マイキー殺す」という理屈はあまりにも飛躍しすぎている。だが、その破綻した理論による闇堕ち後の一虎は、触れたら切れそうでありながらもすぐに壊れてしまいそうな、そんな危うい色気を兼ね備えてしまった。

 思えば村上虹郎は、こういった“危うい色気のある武闘派ピュア・サイコパス”がもっとも似合う役者だった。中でも、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』での沖田総司と『燃えよ剣』での岡田以蔵が忘れられない。奇しくも、幕末の動乱における幕府側と倒幕側を象徴する“悲劇の人斬り”を、ひとりで演じているのだ。戦いに喜びを見い出し、人を斬ることに躊躇しない。だが、性根はどこまでもピュアである。そしてふたりとも、明治を見ることなく、非業の死を遂げる。

 一虎も、この沖田総司や岡田以蔵の系譜である。彼らが現代に転生したようなものだ。

 狂ってしまった未来においては、マイキーが一虎を殺したことになっている。過去を正すため、タケミチがタイムリープのトリガーとなるナオト(杉野遥亮)との握手を交わしたシーンで、唐突に映画は終わる。思わず声が出た。スクリーンに引き込まれているうちに忘れてしまっていたが、この作品は2部作だった。ここからさらに面白くなるであろう、あまりにもいいところで終わってしまった。後編の上映開始は6月30日である。あと2カ月弱、悶々としたまま待たねばならない。ちょっとタイムリープして来る。

■公開情報
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』
全国公開中
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
6月30日(金)公開
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)
監督:英勉
脚本:髙橋泉
配給:ワーナー・ブラザース映画
©和久井健/講談社 ©2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
公式サイト:tokyo-revengers.jp
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