仲里依紗、『TOKYO MER』では“王道”の芝居で魅了 オファーが絶えない変幻自在の演技力

 2010年には、アニメ映画『時をかける少女』で主人公の声を演じた仲が、実写版でも主人公を務めるという試みで、瑞々しい演技を見せ、高い評価を得ると、同年には『ゼブラーマン』の続編として公開された『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』に、世界を黒と悪に染めるアーティスト・ゼブラークイーンとして出演。その振り切ったビジュアルと演技、そして歌とダンスで新たな一面を見せた。

 本作でメガホンを取った三池崇史監督とは、シリーズとなった映画『土竜の唄』でもタッグを組み、生田斗真演じる菊川玲二が惚れている婦人警官・若木純奈を演じた。インタビューでも「無茶ぶりが多い」と三池監督の即興の演出に苦笑いを浮かべつつも、お色気たっぷりに純奈を演じ、作品に彩りを与えていた。

仲里依紗を応援せずにはいられない “サレ妻”、“オンリーワンの2番目”で発揮される存在感

高橋一生、斎藤工、滝藤賢一がアラフォー独身男性の本音を体現していくドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)は新感覚のラブコメディ。…

 この時点でもふり幅の大きく、非常に引き出しの多い女優として評価は高かったが、近年さらにその勢いは増していく。ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)では、イケメンの夫・有島光軌(鈴木伸之)の妻・麗華を演じた。麗華は、非常に地味なキャラクターであり、明るいイメージの仲が演じるという一報が流れたときは、懐疑的な意見も見受けられたが、いざ放送がスタートすると、夫の不倫を知り、静かなトーンながらも背筋が凍るような“恐怖”を与え続ける演技に多くの賛辞が寄せられた。

 続いて放送された連続ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)では、これまで数々の女優が演じてきた波子を演じた仲。本作の波子は、主人公・原口元子(武井咲)が務める銀行の同僚。元子を慕う非常に地味な派遣社員だったが、ホステスの道に入り自信をつけると、元子に敵意をむき出しにするライバルへと豹変する。

 『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)でも、塚本高史演じる高森純平の妻・杏寿を演じたが、こちらも夫に不倫される“サレ妻”として、明るく闊達な妻から、不倫発覚後のキレっぷり、その後の内に秘める怖さ、それでも夫を思ってしまう切なさ……とさまざまな表情を見せた。

 役柄の幅広さだけではなく、一人の人物でも多面的に表現する仲の演技力には脱帽させられた。

仲里依紗の魅力が最大限に発揮された『大奥』 可憐で切ない徳川綱吉役を振り返る

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 そして『大奥』では、時代劇初挑戦で、自身も「言葉も台本も難しい」と大苦戦したことをファンミーティングで明かしていたが、綱吉の豪華絢爛な衣装をまとった存在感はもちろん、父である桂昌院(竜雷太)から世継ぎを期待されることへの絶望感や、それでも生きようとする力強さを繊細に表現し、多くの称賛を受けていた。

 振り返ってみると、確かに一筋縄ではいかない役柄が多い仲。それは確かな演技力があるからこそ、多くの製作陣が「幅広い役」を仲にオファーするのだろう。そんななか“王道”の芝居が堪能できる劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』は、一周回って非常に新鮮な仲が楽しめる。6月配信予定のNetflixシリーズ『離婚しようよ』とともに、ますます仲の芝居と言動からは目が離せない。

■公開情報
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
全国公開中
出演:鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、佐野勇斗、ジェシー(SixTONES)、フォンチー、菜々緒、杏、鶴見辰吾、橋本さとし、渡辺真起子、仲里依紗、石田ゆり子
監督:松木彩
脚本:黒岩勉
配給: 東宝
©2023劇場版『TOKYO MER』製作委員会
公式サイト:https://tokyomer-movie.jp/
公式Twitter:tokyo_mer_tbs
公式Instagram:tokyo_mer_tbs

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