西野七瀬は“アンニュイな悪役”が上手すぎる 『Dr.チョコレート』渚はスパイなのか?

西野七瀬は“アンニュイな悪役”が上手すぎる

 坂口健太郎主演の日本テレビ系新土曜ドラマ『Dr.チョコレート』で、敏腕新聞記者役を演じている西野七瀬。すっかりミステリアスな演技が板についた西野が、『Dr.チョコレート』ではどんな演技を見せているのか。その魅力や今後の展開について予想してみたい。

 西野七瀬は、乃木坂46で一時代を築いた後に俳優の道に進み、2019年のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系/以下、『あな番』)での黒島沙和役で俳優としてブレイク。清純そうで、一見悪に立ち向かうヒロイン的な女子大生だが、実は男たちを利用して連続殺人を企てる猟奇殺人者という、まさかの黒幕として世間を震撼させた。当たり役になった理由は、アイドル時代に築いた、守りたくなるような儚いイメージがベースにあったからだろう。猟奇的でサイコパスな人物を演じた時の意外性と怖さ。そして、フワッとしていてどこか冷めているような淡々としたセリフ回しなど、観ているとスッと吸い込まれる独特の演技だった。この意外性が日本ドラマ史上における新世代の女性ヴィラン(悪役)を誕生させ、俳優・西野七瀬の新たなイメージを打ち出すことに成功した。

 以降、様々な役を演じキャリアを積んでいく中、一番のハマり役と評判なのが、現在公開中の映画『シン・仮面ライダー』での、SHOCKER上級構成員・ハチオーグ/ヒロミ役。スズメバチの怪人で、女王蜂のごとく尊大な態度を取りつつも、「あらら」が口癖で、元々SHOCKERで最も友人に近い敵対する緑川ルリ子(浜辺美波)を「ルリルリ」と呼ぶなど、お茶目なお嬢様風キャラだ。

西野七瀬、『シン・仮面ライダー』は“悪役俳優”の真骨頂 『あな番』から積み上げた経験

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 和装にハイツインテールの髪型をあわせた、西野の美しさとハチオーグの妖艶さが相性良くハマっている。そして、SHOCKERを出て行った裏切り者のルリ子に歪んだ愛情を持ち、「私も悪いことは言わない、SHOCKERに戻って」と言う時のメンヘラチックな淡々とした喋り、そして拒否された時に「泣いて、私の前で思いっきり泣いて」や「私はルリ子を泣かせたいの」と迫るヤンデレぶり。自分のコントロール下におきたいという自己満足感といえる上から目線は、女王蜂ゆえの思考なのか。単純に悪役ではなく、そうした歪んだ愛情の愛憎劇として、プライドが高いヤンデレキャラと西野のイメージがガッチリとハマった。

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 西野のようなアンニュイな悪役ができる俳優は限られているように感じる。最近のヴィランものの流行りである、無邪気な悪だったり、ヤンデレ感の怖さ、そういったハーレイ・クイン系の悪役ができる日本の若手では西野が突出していると、ハチオーグ役で改めて感じられた。

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