『ゆとりですがなにか』劇場版が楽しみすぎる! 『インターナショナル』が意味するものは?

劇場版『ゆとりですがなにか』期待と展望

 2016年に日本テレビ系で放送された連続ドラマ『ゆとりですがなにか』が映画化され、『ゆとりですがなにか インターナショナル』として10月13日に全国公開されることが発表された。

 『ゆとりですがなにか』は、「野心がない」「競争意識がない」「協調性がない」と揶揄される“ゆとり世代”と社会に括られた、岡田将生演じる坂間正和、松坂桃李演じる山路一豊、柳楽優弥演じる道上まりぶのアラサー男子3人が、仕事に、家族に、恋に、友情に、迷い、あがきながらも懸命に立ち向かうストーリー。

 ドラマの放送時から本作を楽しんでいたライターの麦倉正樹氏は、その魅力を次のように語る。

「本放送から7年、スペシャル版の放送から6年が経ちましたが、いまなお色あせていない……というか、今もふとした瞬間に『彼らは今頃、どんなかな?』と思ってしまうような、実に愛すべきドラマでした。『ゆとり世代』という言葉が流行ったのは、2000年前半頃。当時、多分にネガティブな意味で総称されていたその世代が歳をとり、30代を目前にしながら、どんな大人になっていったのかを問う部分に本作の面白さがありました。脚本を手がけた宮藤官九郎さんの持ち味が発揮されていて、コメディドラマとして笑える一方、育ちや環境が異なるメインキャラクター3人が、ゆとり世代という共通項で連帯していく姿に社会のあり方が反映されており、同時代的なドラマとしての面白さもありました。同世代の連帯を描くドラマは過去にも多くありましたが、「あの頃は良かった」とか過去を振り返るような懐かしさを全面に押し出す形ではなく、生い立ちも家庭環境も職業も異なる3人が、偶然出会い、たまたま同い年だった……しかも良くも悪くも『ゆとり世代』と呼ばれてきた世代だったことで、徐々に意気投合していく感じが、本作の新鮮なところであり、またリアリティや共感性の高いところだったように思います」

 この数年で日本映画・ドラマ界に欠かせない存在となった岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥。自身も「ゆとり世代」に属する、同年代の3人が本作で再び共演することは、3人にとっても大きな意味があるのではないかと麦倉氏は続ける。

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2016年に日本テレビ系で放送された連続ドラマ『ゆとりですがなにか』が映画化され、『ゆとりですがなにか インターナショナル』とし…

「当時から若手実力派と言われていた3人ですが、それぞれ主演クラスであるがゆえに、同年代……しかも同性の役者とフラットに関係性を構築する機会は、それまであまりなかったのではないでしょうか。今回の映画版に寄せた、それぞれのコメントからもうかがえるように、このドラマの共演によって、お互いがお互いのことを、それぞれの仕事を含めて、普段から良い意味で意識し合っているような関係性……しかも、そういった関係性を20代の最後に築けたことは、とても貴重なことのように思います。当時から数年が経ち、30代となった彼らが、今回の映画版で、それぞれの役どころをどのように演じるのか。今からとても楽しみです」

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