木村拓哉が昔気質の“男らしい男”を演じる意義  異物感ゆえの『教場』シリーズの面白さ

 これまで時代の最先端を突き進んでいた木村拓哉が、昔気質の“男らしい男”を演じていることに時代の変化を感じる。木村の最大の武器だった軽妙な口調に宿る独自のユーモアを封印されており、ドラマの内容も映像も、これまでになくシリアスでストイックなものとなっている。そのため作品としては楽しみながらも、どう受け止めていいのかわからず困惑しているというのが『教場』シリーズに対する正直な感想だ。

 近年の木村拓哉は、老いを受け入れる役が増え『グランメゾン東京』(TBS系)や『未来への10カウント』(テレビ朝日系)といったドラマでは、若者からおじさんへと変わっていく中で若者たちを導く教師的な役割を演じることが多かった。

 『教場』の風間公親もその流れに収まるのだが、他の役と比べても反動的で、どうにも座りが悪く感じる。その違和感は、前日譚となる『教場0』にも引き継がれており、これまで木村が演じてきた役の中で、もっとも異物感のある男だと言える。それは逆に言うと、とても伸びしろのあるポテンシャルのある役ということで、50代の木村拓哉の代表作となることは間違えないだろう。

 今や最後の国民的スターと言える木村拓哉だが、かつて演じた役が若者のロールモデルとなったように、風間公親は50代男性のロールモデルと成り得るのだろうか? 圧倒的な異物感ゆえに目が離せない存在である。

■放送情報
フジテレビ開局65周年特別企画『風間公親-教場0-』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:木村拓哉、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太ほか
原作:長岡弘樹『教場0 刑事指導官・風間公親』『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)
脚本:君塚良一
演出・プロデュース:中江功
プロデュース:渡辺恒也、宋ハナ
音楽:佐藤直紀
主題歌:Uru「心得」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyojo0/
公式Twitter:@kazamakyojo
公式Instagram:@kazamakyojo

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