大泉洋、『ラストマン』で新たな扉を開くか 『鎌倉殿の13人』以降の活躍を振り返る

 映画としては、佐藤正午の原作を廣木隆一が監督した『月の満ち欠け』に出演。大泉が演じた小山内堅は、愛する妻の梢(柴咲コウ)、娘の瑠璃(菊池日菜子)と幸せに暮らしていたが、ある日突然、不慮の事故でその妻と娘を一度に亡くしてしまうというキャラクター。そこに目黒蓮演じる三角哲彦が現れて……という物語。

 娘の瑠璃がある女性の生まれ変わりではないかというファンタジックな設定ながらも、登場人物のひとりひとりにリアリティがあり、不思議な味わいと後味が残る。

 特に大泉は、小山内堅の20代から50代までを演じた。これも初めての体験だろう。妻と出会った20代は若々しく、30代で幼い瑠璃と早稲田の街にたたずむシーン(古い早稲田の街並みのセットが圧巻だった)、高校生になった瑠璃とともにスーツを着て歩くシーンは、仕事も順風満帆であることが伺えた。そこから一転、大事な家族を失い、失意のどん底に陥って、やつれた風貌になり、身なりもそこから放たれる空気感も変わってしまった姿に驚かされた。また、ラストシーンである真実を知ってなんともいえない表情をするシーンが今でも焼き付いている。

 大泉自身も、この『月の満ち欠け』で若い時代を演じて50代の演技に至ったとき、普段は絶対に言われたくないが、このときばかりは「大泉さん、老けられましたね~」と言われて嬉しかったと公開記念特番で語っていた。

 そしていよいよ、日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』がスタートする。このドラマでは、主演の福山雅治が演じる全盲のFBI特別捜査官のバディとなる警視庁の刑事・護道心太朗を演じる。

 護道は、警察庁人材交流企画室の室長で、誰よりも悪を憎み、犯人検挙のためには手段をいとわない刑事と公式サイトには書いてある。このような刑事役も大泉にとっては初めてのキャラクターではないだろうか。オリジナル作品で、全貌がまだ見えないだけに、回を追うごとに護道のどんな一面が見えてくるのか楽しみだ。

 こうして振り返ると、2022年から2023年は大泉洋にとって、以前にも増して、これまでにない新たな役をどんどん演じてきた期間と言えるかもしれない。50代に入ってもますます進化を遂げている最中なのではないだろうか。

■放送情報
日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』
TBS系にて、4月23日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:福山雅治、大泉洋、永瀬廉(King & Prince)、今田美桜、松尾諭、今井朋彦、奥智哉、王林、寺尾聰、吉田羊、上川隆也
第1話ゲスト:宮沢氷魚、筒井真理子、草川拓弥(超特急)、関町知弘(ライス)
第2話ゲスト:浜田信也、アキラ100%、野呂佳代、田村真子(TBSアナウンサー)
脚本:黒岩勉
演出:土井裕泰、平野俊一、石井康晴、伊東祥宏
撮影監督:山本英夫
プロデュース:益田千愛、元井桃
編成プロデュース:東仲恵吾
音楽:木村秀彬、mouse on the keys
全盲所作指導:ダイアログ・イン・ザ・ダーク
協力:日本視覚障害者団体連合
製作:TBS
©︎TBS
公式Twitter:@LASTMAN_tbs
公式Instagram:LASTMAN_tbs

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