横浜流星×奥平大兼が初共演を語り合う 『ヴィレッジ』で優&龍太を生き切って感じたこと
横浜流星主演映画『ヴィレッジ』が4月21日に公開された。
とある日本の集落・霞門村。幼い頃よりこの村に住んでいる片山優(横浜流星)は、美しい村にとって異彩を放つ、巨大なゴミの最終処理施設で働いている。母親が抱えた借金の支払いに追われ、ゴミ処理施設で働く作業員に目をつけられ、希望のない日々を送っていた。そんなある日、幼なじみの美咲(黒木華)が東京から戻ったことをきっかけに、物語は大きく動き出す。
藤井道人監督と横浜の分身として作られたのが、本作の主人公・優だ。藤井監督と横浜自身が感じる、迷いや怖れ、そして、二人の抱くそうした負荷をいかに負わせるか、たくさん時間をかけて作り上げ、優が生まれた。
そして、優を慕うごみ処理施設で働く後輩の筧龍太を演じるのが奥平大兼。龍太は、険しい表情をする優に明るく話しかけ、笑顔で優と並び立つ“陽”なキャラクター。彼もまた借金返済のため、無理やりごみ処理施設の不法投棄に手を染めながらも、どこか明るい一面を感じさせる。
同じ事務所の先輩後輩でもある横浜と奥平。初共演となった本作で、優と龍太の関係性を描く上で互いにどう役と向き合ったのか、話を聞いた。
横浜流星が観ていた、奥平大兼のデビュー作『MOTHER マザー』
ーー完成した映画を観ての率直な感想はいかがでしたか?
奥平大兼(以下、奥平):この作品に限らないんですけど、一回観ただけだと、なかなか心の整理がつかなくて、変な感じがしちゃうんですよね。だからいつも、もう一度、フラットな気持ちで映画を観にいきたいと思っていて。でも、僕が出てないときの皆さんのお芝居は台本でしか読んでいなかったので、それを映像で観れて、すごくよかったです。
横浜流星(以下、横浜):僕らキャストはやっぱり自分の粗探しをしちゃったりするので、あんまり客観的には観れないとは思うんです。藤井さんのこだわった映像美や作り込まれた世界観を含め、今までに観たことないような、挑戦的で攻めた作品になったなというのは感じました。
ーーお2人は初共演になりますが、共演する前と後で印象の違いはありましたか?
奥平:共演前の印象あります?
横浜:あるある。『MOTHER マザー』観てたから。
奥平:マジですか。
横浜:あれが映画デビュー作とは思えないですよね。すごく堂々としていて、“映画で映えるな”というのは最初から感じていました。同じ事務所だし、撮影が始まる前からすごく楽しみにしていて。ご一緒して、やっぱりいいなって思ったし、彼の持つ独特な雰囲気が、今回のキャラクターに当てはまっているなって。あまりこの世代にはいないタイプだと思うし、唯一無二の俳優だと思います。今後もどんどん映画で活躍していくんだろうなと。とらわれずにいろいろやってほしいですけど。
奥平:嬉しいですね。僕自身、同じ事務所の部署の先輩に会ったことがなかったんですよ。
横浜:そっか、なかったの?
奥平:山﨑(賢人)さんとかも未だに会ったことないです。部署が違う方は何人かお会いしたことがあるんですけど、同部署の先輩で初めてちゃんとお会いして共演したのが流星くんでした。ちょっとストイックそうだなと思って、撮影現場で、話しかけていいのか迷ったけど、もういっちゃえと思って。わりと僕的には頑張って話しかけたら、ちゃんと話してくれて。僕の役柄的にも、言語化するのは難しいですけど、優くんに対しては特別な何かを感じていたと思うんです。その特別なものが龍太にとってすごく大事だったと思うし、後半に進むにつれて、そこが自分のマインドの中で関わってくるものだと思っていたので、それをどうやって作ろうかと思っていました。でも、お話しができて、流星くんと僕とで感覚が似てるのかなと感じて、それを基準に芝居を考えられたので、ありがたかったです。
ーーどんな話をされたんですか?
奥平:特に重い話とかはしてないんですけど、僕が唯一、共通点として話すのは、空手だなとずっと思っていたんです。“空手あるある”とかを聞こうと思っていて、たぶん覚えていないと思うんですけど、「気をつけをするときに足がこうなっちゃう」みたいな話を……(笑)。
横浜:確かにそういう話してたね。
奥平:そういう他愛もない話をしていましたね。
ーー優と龍太の関係性を作っていく上で、何かされたことはありますか?
横浜:役についてはあまり話さなかったです。各々がちゃんと監督と話し合いながら役を作っていって、その中でキャッチボールをする感じでした。
奥平:龍太は前半ではあまり自分の気持ちを表に出していなくて、後半になるにつれて、それがこぼれ落ちていくキャラクターだと思ったので、あまりコミュニケーションをとるのはよくないかなと思っていました。基本的には流星くんに限らず、ほかの演者さんともゴミの話をしてたぐらいです。