「たりないふたり」がなぜドラマ化? 『だが、情熱はある』に見る“芸人ブーム”の流れ
「たりないふたり」がドラマになる理由
そして、今回ドラマになる「たりないふたり」。今一度解説すると、「たりないふたり」とは若林と山里による漫才ユニットの名前であり、2012年に日本テレビ系で放送されていたバラエティ番組である。
そして「たりないふたり」こそ、芸人の素の部分を惜しげもなく晒け出したパイオニア的コンテンツなのではないかと個人的には感じている。
というのも、もともと『M-1グランプリ』で準優勝となりブレイクを果たしたオードリー(2008年大会)と南海キャンディーズ(2004年大会)。日の目を見ない時期を乗り越え、華やかな戦績を手に入れたふたりだが、人見知りな性格は変わらず、社交性や社会性が“たりない”こと、そしてどんどん活躍していく相方に対して負の感情を抱くようになっていった。そんな負の感情を笑いにしようと、結成したのが「たりないふたり」だ。
初回放送の内容は「苦手な飲み会をどう切り抜けるか」「二次会に行かない方法」をテーマにした内容。しんどすぎて鍋の灰汁を取るのに徹する話や、興味のない話を終わらせる“ストップ咳”や、相手に「帰るの?」と言わせるためにアウターを羽織る“ジャケットプレイ”などお互いの切り抜け術を披露。
なんとなくクラスの人気者というイメージを持ちがちなお笑い芸人像を大胆に覆した。そして普段はキラキラと活躍しているように見えるふたりが、自分と同じようなことに悩んでいる姿を見て、なんとなく安心させてくれたのだ。
そんな「たりないふたり」は、2021年5月31日の無観客配信ライブをもって活動に幕を閉じた。同ライブは、5万5千人超の観客を集客。お笑いライブの生配信としては歴代最高記録をマーク。“たりない”と嘆いていたふたりが、ここまで多くの人を惹きつけたという事実にもグッとくるものがあった。
そんなふたりの半生を描いたドラマ『だが、情熱はある』。すでに話題の通り、演技・そしてパフォーマンスでも憑依力に長けている髙橋海人、森本慎太郎の“たりないふたり”っぷりはすでに期待以上。4月4日に放送された事前番組『たりない!だが、情熱はあるふたり』(日本テレビ)によると、無観客配信ライブのシーンは実際に配信が行われた東京・世田谷にある北沢ホールで収録。カットがかかると、当時の配信をチェックし、より“たりないふたり”らしさを落とし込む髙橋、森本の姿は、きっとお笑いファンをも納得させることだろう。
森本慎太郎は“アツさ”を体現する俳優だ 『だが、情熱はある』山里亮太役も納得の演技力
4月クールのドラマが続々と発表されはじめている今日この頃。新日曜ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の放送決定に伴うキャス…
また、これはあくまでも想像なのだが、月曜日を前に憂うつになる日曜の夜にふさわしいドラマになるのではないかと思っている。決して「明日から頑張ろう!」と無理に前を向かせるのではなく、「たとえ評価されなくても、自分の中に情熱があるならいいか」と少しだけ心を軽くしてくれるような内容になるのではないかと。
だからこそ、お笑い好きな人はもちろん、そうではない人にも見てほしい。きっと“たりなくてよかった”と至らない自分を愛せるようになるはずだ。
※記事初出時、一部の表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
■放送情報
新日曜ドラマ『だが、情熱はある』
日本テレビ系にて、4月9日(日)スタート 毎週日曜22:30〜放送
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
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